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 マウスの体内で血管をつくる源となる「幹細胞」をみつけたと、大阪大学微生物病研究所のチームが9日、米科学誌セル・ステムセルで発表した。この細胞を血流が滞ったマウスの足に注射すると、血管が新しくつくられたという。

 血管には、栄養素や老廃物を受け渡す場所の役割のほか血管を新しくつくる時にも働く「血管内皮細胞」や、周りを囲む「壁細胞」がある。血管が作られるとき、どのように内皮細胞が次々と生まれてくるかは詳しく分かっていなかった。

 チームは、マウスの血管内皮細胞の中にごく少量含まれる、特有の分子を発現する細胞を分離。この細胞を一つだけマウスの肝臓に移植すると、1年後にはその細胞から新たに血管が作り出されていく様子が観察できた。分裂しても元の細胞と同じ能力を保つことも確認でき、内皮細胞を生み出し続けることができる「血管内皮幹細胞」だと結論づけた。

 また、片足の血流が滞ったマウスにこの幹細胞を移植すると、新たに血管ができて血流が回復することを確認。血管内皮細胞が分泌する物質がつくれない「血友病A」のマウスの治療実験にも成功した。高倉伸幸教授は「ヒトの細胞でも解析している。将来的には心筋梗塞(こうそく)の治療にも応用できるだろう」と話している。(合田禄)