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 南太平洋に浮かぶ人口10万人あまりの王国トンガ。かっぷくがよく、ふくよかな人たちがゆったりと行き交う。そんな光景が映し出すのは、ラグビーが盛んなお国柄というより、成人の多くが肥満という現実だ。人々が生活習慣病を患うリスクを減らそうと、様々な対策が動き始めている。(ヌクアロファ=小暮哲夫)

 首都ヌクアロファ郊外のカラウ地区のコミュニティーセンターに昨年11月、地元の女性約20人が集まった。たいていの家の庭に木があるという果物ブレッドフルーツ(パンノミ)を使った料理教室が開かれていた。日本の国際協力機構(JICA)の援助を受けて東京農業大が行っている。

 「今日は、クリスマス用のレシピを考えてきました」。事業の責任者、東農大の杉原たまえ教授が包丁を握ってお手本を示した。

 ブレッドフルーツは炭水化物が豊富で水分も多く、腹持ちがよい。タロイモなどと並ぶ伝統的な主食の一つ。トンガはかつて海外との交易の手段が限られ、主食と野菜や果物、魚を中心とした食生活だった。地域や親族間のさまざまな行事ではいつも、たっぷり食事を振る舞って楽しんでもらう慣習もある。

 そんな大食の人たちの暮らしにこの数十年、バターやジャムをたっぷり塗ったパン食やファストフード、脂肪分、塩分の高い加工食品が広がったことが肥満が増えた要因とされる。

 ブレッドフルーツも以前ほど食べられなくなり、最近は、7割ほどが捨てられていた。料理教室はそんな伝統的な食材を奨励し、昔ながらの健康的な食生活を取り戻すきっかけにしてもらう狙いがある。女性たちは、ブレッドフルーツも具に加えたロールキャベツや、ブレッドフルーツをパテにしたバーガーなどを作った。

 バーガーにかぶりついた参加者の一人、アティベニアナ・ポマナさん(63)は「おいしい。さっそく家でも作ってみたい」。ふくよかな体形で、2年前に教師を退職するまではファストフードをよく食べ、「コーラが大好きだった」。最近は糖尿病になって薬を飲む生活だっただけに「ヘルシーな料理は大歓迎」と話した。この事業では、5年かけてブレッドフルーツの粉や伝統菓子の商品開発も進める。

 トンガ政府と世界保健機関(WHO)が2014年に発表した調査によると、25~64歳の90・7%が、体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)が25以上の「過体重」で、67・6%がBMIが30以上の「肥満」だった。ウエストのサイズの平均は、男性が103・3センチ、女性が106・7センチ。1日に野菜や果物を4種類までしかとらない人が、73・1%を占めた。

 その結果、57・1%の人に糖尿病や高血圧、心疾患、がんなどの生活習慣病のリスクが高いとされた。肥満は太平洋の島国に共通する課題だ。WHOの調査では、18歳以上の肥満率はパラオやナウル、サモアなどでも4割超に達した。

■「肥満対策税」…

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