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 平昌五輪開会式前日の8日に31歳になった。フィギュアスケート女子で2014年ソチ五輪銅メダルのカロリナ・コストナー(イタリア)は、10代で選手がピークを迎え、今大会に出場する他の29選手が24歳以下という女子フィギュアの中では異例の存在だ。女性の活躍の機会が、広がることを願って競技を続ける。

 この年齢で続けられる理由を聞かれたとき、こう話したことがある。「(テニスの36歳)ロジャー・フェデラーや他のトップ選手と比べると私は若いでしょ」

 フィギュアスケートは細く小さい方が、ジャンプで回転しやすいとされる。10代でピークに達して10代のうちに衰える選手も珍しくない。前回ソチ大会で、ロシアの団体金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤは拒食症に苦しみ引退。個人でロシアに金メダルをもたらしたアデリナ・ソトニコワは、ほとんど大会に姿を見せないままだ。そんな中、コストナーは169センチの長身で長い手足をバレリーナのようにしなやかに使い、伸びのある滑りで得点をかせぎ、高度なジャンプを跳ぶ10代と競う。

 リプニツカヤや、米国の有力選手だったグレーシー・ゴールドが摂食障害で苦しんでいることを気に病む。

 「私の家族も病気になったことがある。落ち込んだり、間違いを起こしたりすることは怖くない。大事なのは、また立ち上がること。年齢は問題ではないことを示し、私が一つの例になることを望んでいる。将来、フィギュア選手が長く成長し続けられることを願う」

 自身も、国の期待に押しつぶされたことがあった。地元イタリアのヒロインとして臨んだ06年トリノ五輪は9位。10年バンクーバー五輪でも多くのジャンプで失敗して16位だった。

 そして気づいた。「才能があると言われ、結果を求めすぎた。でも、私がスケートをするのは好きだから」。10回目の挑戦となった12年世界選手権、25歳で初優勝を遂げた。

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)が15年秋に「(当時の恋人の)ドーピング抜き打ち検査に来た検査官に対し、誤って不在だと伝えて誤解させた」と認定。コストナーも自身の行動がドーピング規定違反に当たると認め、資格停止処分を受け入れた。14年4月から21カ月の資格停止処分を受けた。それでも前向きに、大学で美術史を学び、バレエ学校へ通ったという。「練習以外のことも必要だと感じています。大学に行き、友達を持ち、旅もする。スケートがうまくいってもいかなくても、私の世界がなくなるわけではありません」

 国民の期待に応えなければならない、常にスポーツとだけ向き合わなければならない――。そういった過度な重圧や義務感から自分を解放した。昨季、復帰し、3大会ぶりの世界選手権で6位になった。今大会も、メダル候補の一人だ。(後藤太輔浅野有美