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 水俣病患者の苦しみや祈りを共感をこめて描いた小説「苦海浄土」で知られる作家の石牟礼道子さん(90)が10日、亡くなった。石牟礼さんは皇后さまと親交があった。2013年に天皇、皇后両陛下が熊本県水俣市を初訪問した際には、石牟礼さんが皇后さまにあてた手紙がきっかけになり、両陛下と胎児性水俣病患者とのお忍びでの対面が実現した。

 石牟礼さんは同年7月の会合で、皇后さまと初めて顔を合わせた。後日、石牟礼さんは皇后さまへ手紙を送り、「50歳を超えてもあどけない顔の胎児性患者に会ってやって下さいませ」と訴えた。皇后さまは「石牟礼さんの気持ちを重く受けとめています」と知人に伝え、熊本への出発直前、予定になかった胎児性患者との面会を希望。同年10月27日、水俣市内で両陛下と胎児性患者2人との対面が急きょ実現した。

 翌28日、熊本県での日程を終えた両陛下が熊本空港から帰京する際、見送る人たちの中に石牟礼さんの姿があった。ひと目見送りたいと、入院先の病院から駆けつけた。会話は交わせなかったものの、石牟礼さんは「まなざしを交わしました」と取材に答えた。