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 米議会両院は9日未明、新たな来月23日までのつなぎ予算や、今後2年間の予算枠の約3千億ドル(約33兆円)の引き上げなどを盛り込んだ法案を可決した。米連邦政府のつなぎ予算が8日で期限切れとなり、政府機関の一部閉鎖が始まったが、短時間で解消された。ただ、予算枠の引き上げはこれまでにない規模で、国債増発による財政悪化の懸念が強まる。

 法案は上院(定数100)は賛成71票、反対28票、下院(定数435)は賛成240票、反対186票だった。トランプ大統領が署名し、成立した。

 上院の与野党幹部は2018、19会計年度の歳出上限の大幅引き上げで合意。国防費は2年間で1650億ドル(約18兆円)、民主党が求めた非国防費は1310億ドル(約14兆円)引き上げる。

 米国では財政赤字を抑えるため、オバマ前政権下でできた予算管理法で、歳出上限が決まっている。18年度の引き上げ額は1430億ドル(約16兆円)と前年の4倍以上。中間選挙を前に、与野党の要求を丸のみした形だ。

 今回の予算枠の引き上げは、財政赤字拡大を嫌う共和党保守派の一部や、不法移民の救済策を求める民主党の一部が反対していた。

 法案ではインフラ投資200億ドル(約2兆円)などを盛り込んだほか、連邦政府の債務(借金)上限も来年3月まで引き上げる。

 昨年10月以来、議会は4回つなぎ予算を可決してしのいできた。当面の予算枠で合意したことで、財政をめぐる与野党の対立は今秋の中間選挙後まで回避される可能性が高まった。

 オバマ政権時代に野党だった共和党は「小さな政府」を志向し、予算管理法成立につながった。今回は財政拡張に転じた。トランプ政権は12日に来年度の予算教書を公表する予定で、ホワイトハウスのシャー副報道官は「財政の責任を果たす道筋を示す」と話したが、財政悪化への懸念は強まる。

 昨年成立した減税などの税制改革は、今後10年間で財政赤字を1・5兆ドル(約164兆円)増やすとみられている。赤字を穴埋めするため、米連邦政府は今年度約1兆ドル(約110兆円)の国債を発行する見込みで、昨年より約8割増える見通しだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は「量的緩和」で買い上げた米国債の保有を減らしている。もともと市場で国債がだぶつく中で国債が増発され、金利上昇の懸念が広がっている。(ワシントン=五十嵐大介