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 プロ棋士の観戦を楽しむ「観(み)る将」から、指して楽しむ「指す将」にまわる女性が増えている。東海地方では初めてという女性限定の将棋教室が始まった。初心者向けの女性の将棋大会が人気で、婦人誌も異例の将棋特集を組み、将棋盤を付録にした。

 名古屋・栄のビルの一室。栄将棋教室で2月、週1回開く女性限定のレディースセミナーが始まった。講師は愛知県出身の女流プロ、中澤沙耶女流初段(21)。初回は初心者の2人が参加し、1手詰めや3手詰めの詰将棋を解いたり、八枚落ちで指導対局をしたりした。

 きっかけは2年ほど前。子どもの将棋大会で指導対局をした際、若い女性から声をかけられた。「女性でも気軽に入れる教室はありませんか」。答えに窮し、ずっと心残りだった。中澤女流初段は「大人になってから始めようと思っても、男性主体のイメージで抵抗を感じる女性も多い」という。

 教室に通う名古屋市の女性(42)は、いわゆる「観る将」だった。昨夏、藤井聡太六段(15)の活躍で将棋に興味を持ち、毎月のように東京や関西へ出かけて公開対局の観戦や棋士の催しに参加。ルールもよく知らなかったが、藤井六段の棋譜中継などを見るうちに指してみたくなった。女性は「藤井さんだけではなく、個性豊かな棋士がたくさんいておもしろい。プロ棋士に指導対局をしてもらうのが目標」と話す。

 東京や大阪では女性限定の将棋教室は珍しくない。日本将棋連盟の将棋会館が講座を開いていたり、女流プロが独自に教えていたりするからだ。ただ、名古屋には将棋会館がなく、女流プロも東京や大阪に集中している。

 藤井六段が本拠にする関西将棋会館(大阪市)では毎週、レディースセミナーが開かれている。入門、初級、中級の3クラスがあり、毎回30人ほどが参加する。担当者は「藤井さんが連勝記録を伸ばしていた昨年の5月以降、入会者が際立って増えた。観戦するだけではなく、実際に指してみたいと思う女性が多いようだ」という。

 女性を対象にした将棋大会や将棋盤も人気だ。日本女子プロ将棋協会(東京)は毎年、バレンタインの時期に初心者向けの大会「ショコラトーナメント」を開いている。会場はおしゃれな雰囲気のカフェで、参加者はランチビュッフェが楽しめる。賞品には美容用品などが並ぶ年もあり、例年30人ほどが参加。担当者は「女性の初心者向けの大会はこれまでほとんどなかった。大会に出てもらうきっかけになればと始めた」。

 生活雑貨販売などを手がける「アクエル」(東京)が昨秋に売り出したのが「ハート将棋」。ピンク色の将棋盤とハート形の駒。ハートをデザインしたトートバッグに収納して持ち運ぶ。「娘にプレゼントしたいという男性からも引き合いがある」

 老舗婦人誌「家庭画報」(世界文化社)は昨年12月発売の1月号で、20ページに及ぶ将棋特集を組み、厚紙製の将棋盤と駒のセットを付録にした。創刊60年で将棋を取り上げるのは初めてという。羽生善治竜王(47)や佐藤天彦名人(30)らトップ棋士へのインタビューのほか、佐藤名人が誌面で自宅を公開。付録は日本将棋連盟が監修し、初心者向けに駒の動かし方も明示した。主な購読層は50、60代の主婦で、前月号と比べて売り上げが約6割増えた。

 秋山和輝編集長は「新年に親子や祖父母と孫で将棋を楽しんでもらおうと付録を考えた。予想通り、将棋に注目している読者世代の女性が多かった」と話す。

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 栄将棋教室のレディースセミナーは毎週木曜午後5~7時。棋力は問わない。入会金5千円、月謝1万円。問い合わせは教室(052・264・0655)へ。(滝沢隆史)