阿部峻介、諸永裕司
2018年2月12日06時33分
2016年暮れの夜。携帯電話が鳴ったとき、男性(52)はハンドルを握っていた。家具販売の営業用の車を止め、東京で一人暮らしをする息子(27)の話に耳を傾けた。
「父さん、迷惑かけることになってごめん」
大阪の実家から私立大の国際関係学部に通い、卒業して3年半。奨学金を返せず、自己破産するという。入学金30万円や毎年100万円の授業料、通学費などのため、計800万円余を借りた。機構の調査によると、大学でかかる1年間の費用は「私大・自宅生」で平均約177万円。
息子がいま働いているマーケティング会社の手取りは月20万円ほど。家賃などを除くと、奨学金を返す4万円が重い。機構に返還猶予を求めたが、年収300万円以下の条件をわずかに超えた。延滞が3カ月に迫り、「個人信用情報機関に名前が載りますよ」と告げられた。20年返し続ける自信がなくなった、という。
「お前がええんやったら、しゃあない」
家計が苦しくても、「進学したい」という息子の希望はかなえてやりたい――。そう思い、日本学生支援機構の奨学金を借りた。「まさか、こんな形で返ってくるとは」。父親は戸惑い、自らも自己破産する道を選んだ。
息子が大学に入ったのは09年…
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