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 「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」を新たな視点で見直す国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学」が10日、JR京都駅前にある龍谷大学響都ホール(京都市南区)で開かれた。海外の医師や研究者らの講演などがあり、約200人が耳を傾けた。

 SBSをめぐっては、①硬膜下血腫②網膜出血③脳が膨張する脳浮腫という三つの病状(三徴候)をもとに医師がSBSと診断し、虐待を疑われた親などが裁判で有罪となる例が相次いでいる。一方、海外では診断根拠を疑問視する研究報告や冤罪(えんざい)事件もあり、大阪弁護士会の弁護士らが昨年、検証チームを発足。シンポはこの活動の一環で、龍谷大学犯罪学研究センターが主催した。

 会場では、三徴候による診断が冤罪を生む危険性が次々と指摘された。米ウィスコンシン大学ロースクールのキース・フィンドレイ准教授は、2000年代以降にアメリカで相次ぐ冤罪事例を紹介。自身もその一つの弁護を務めたことに触れ、「三徴候が揺さぶり以外でも生じることはすでに共通理解。虐待があったとする診断の信用性については激しい論争が続いている」と現状を説明した。

 「何らかの犯罪があったと推論させる『乳幼児揺さぶられ症候群』という言葉自体を見直すべきだ」と指摘したのは、神経病理学を専門にするイギリスのウェイニー・スクワイア医師。三徴候のうち硬膜下血腫と網膜出血は、健康な乳幼児にも一定割合で見られる調査報告などを紹介。「すでに原因がわかっている前提に立たず、客観的症状のみを説明する『乳幼児の網膜・硬膜出血』と呼ぶべきだ」と結んだ。(釆沢嘉高)