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 着物店「はれのひ」(横浜市)の閉店により、多くの新成人が晴れ着を着られなかった東京都八王子市で12日、有志による手作りの「成人式」と写真撮影があった。着付けやヘアメイク、撮影の費用は寄付で賄い、全て無料。約200人のボランティアにも支えられ、約70人の新成人が改めて人生の節目を迎えた。

 「多くの方々が企画してくれたおかげで、自分の晴れ着を着た写真を残すことができ、うれしかった。感謝しています」。同市の女子大学生(20)は12日、青い晴れ着を着付けてもらい、ホテルに設けられたスタジオで記念撮影をした。「はれのひ」八王子店に預けていた晴れ着は、同社の篠崎洋一郎社長が謝罪会見をした4日後の1月30日、同社から自宅に返ってきたという。

 この日、返却されたり別のレンタル業者から無償で借りたりした晴れ着で、約70人が記念写真を撮った。夜には、1月8日の成人式会場だった「オリンパスホール八王子」で有志による式典もあり、10人が参加した。石森孝志市長らが祝辞を述べ、高尾山薬王院の山伏による厄払いも執り行われた。

 企画したのは、市内の呉服店「きものの西室」の西室真希さん(36)。成人式当日、晴れ着がなかったり、事前に撮影済みだった写真を受け取れなかったりした新成人が多く、「式と撮影をやり直してあげよう」と翌日から友人らと準備を始めた。

 レンタル業者の協力で140着の晴れ着を確保。運営費をネットで募ると5日間で約255万円が寄せられ、着付けや会場設営の手伝いの呼びかけにも約200人が集まった。西室さんは式典で「皆さんの笑顔がたくさん見られて本当に幸せな一日だった。お母さんになったときにおせっかいなおばさん、おじさんが温かい会を開いてくれたなと思い出してくれるとうれしい」とあいさつした。

 一方、はれのひの破産管財人によると、会社の財産は多くても300万円ほど。被害者への弁済はほとんどできない可能性がある。卒業式や来年の成人式で同社と契約していた客もおり、同様の事態になる可能性もある。第1回の債権者集会は6月20日を予定しているという。

 横浜市でも、被害にあった新成人をボランティアで支援する動きがあり、4日には、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが企画し、クルーズ船でのパーティーなどを無料で楽しんでもらうイベントを開催。約100人の新成人が参加した。(金山隆之介、斎藤茂洋)