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(14日、平昌五輪スノーボード男子ハーフパイプ)

 ライバルの存在がなければ、平野歩夢(木下グループ)が五輪の舞台に上がることはなかったかもしれない。

 平野が2大会連続の五輪メダルのポイントに据えてきたのが、「ダブルコーク1440」(縦2回転、横4回転)だった。ただ、昨年3月に全治3カ月の重傷を負う原因となった世界屈指の大技でもある。一度芽生えた恐怖心は、簡単には消えない。選手生命さえ絶たれそうになった痛恨の記憶は、心にブレーキをかけた。

 復帰後も「やろうとすると、(けがをした時のことを)思い出す」。そんな日々が長く続いた。

 完全復活まであと一歩。そんな中で勇気をくれたのが、ライバルだった。五輪2度の優勝を誇るショーン・ホワイト(米)。昨秋、ニュージーランドでの練習中に転倒し、顔面を62針も縫う大けがを負った。

 だが、31歳になったスーパースターはくじけない。傷口が生々しい自身の顔の写真とともに、すぐに「心配はいらない。俺は戻る、もっと強くなって」というメッセージをSNSで世界中に発信した。

 実際、12月の米コロラド州であったワールドカップ(W杯)では、平野の目の前で代名詞「ダブルマックツイスト1260」(縦2回転、横3回転半)を完璧に着地し、早々に復活をアピールした。

 この姿勢を目の当たりにし、背中を押されたのが平野だ。直後、けがから復帰後初めて「1440」を試合で成功。「やっと自分のスノーボードが帰ってきた」と語った。

 迎えたこの日、決勝の2回目に「1440」を連続で決めた。この時点で95・25点で1位に。最後にホワイトに逆転は許したが、持ち味を存分に発揮した。(吉永岳央)