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 スピードスケート女子1000メートルで14日夜、小平奈緒(31)=相沢病院=が個人として初となる銀メダルを獲得した。ゴールした小平の姿を、父の安彦さん(62)が観客席から見つめた。

 3姉妹の末っ子。幼い頃から自立した娘だった。スケートを始めた3歳の頃から、好きなように滑らせた。仕事を終えて長野県茅野市の自宅に帰ると、リュックにスケート靴を詰めて練習に行くのを待ち受けていた。休みたいと聞いたことはない。けがをしても黙っていることも。きつい練習でも「つらい」と聞いたことはない。

 前回のソチ大会直後に練習拠点をオランダに移した際も、自分で決めた。10日ほど現地を訪ねたが、その時も普段のことを聞き出すことはしなかった。言わなくても自分でできると、信じていたからだ。

 3回目の五輪を迎え、娘はさらに成長した。昨年12月の五輪代表選考会のさなか、母光子さん(62)の携帯に「運転に気をつけて帰ってね」と連絡があった。以前は大会中は張り詰めて、競技場の周りですれ違っても声をかけ合わないくらいだった。「余裕が出てきたのではないか」

 安彦さんは光子さんと並んで平昌での滑りに声援を送った。銀メダルが決まると立ち上がり「おめでとう!」と声をかけた。リンクの小平が笑顔を見せると、同じように笑顔を見せた。「全力を出し切った、とてもいい表情をしていた。笑顔が見られて、いまはほっとしています。結果はなんでもかまわない」。次は500メートル。「まだ夢の途中。本人もそう思っているのでは」(高浜行人)