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 脳梗塞(こうそく)は、脳卒中で最も多い病型で発症平均年齢も75歳(2016年山形県対脳卒中治療研究会登録データ)と高く、高齢化社会において認知症とともに増えています。ラクナ梗塞、アテローム(粥状)血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の大きく三つに分けられます。近年、アテローム血栓性、心原性が増加傾向です。

 ラクナ梗塞は脳の奥深くに血流を送る血管が詰まること。原因は加齢や高血圧症などとされており、以前は日本人で最も多いと言われました。アテローム血栓性は、動脈硬化で頭の中の動脈が狭くなったり詰まったりして起きます。生活習慣病と言えます。

 心原性は、心臓から血栓が飛んで脳の血管が詰まること。主な原因が、非弁膜症性心房細動(NVAF)という高齢者ほどなりやすい不整脈であるために発症年齢が高くなり、治療成績も悪くなっています。

 脳梗塞のサインは「FAST」。Fは顔(Face)で、片側の顔がゆがむこと。Aは腕(Arm)で、片側の手に力が入らないこと。Sは言葉(Speech)で、ろれつが回らなかったり言葉が出なかったり。Tは時間(Time)です。いち早く治療を始めなくてはいけません。

 発症直後の治療としてrt-PA静注療法(発症4時間半以内で投与可)や機械的血栓回収療法がありますが、これらの治療で救える患者さんは脳梗塞全体の1割にも達していません。その一つの要因は、発症から4時間半以内に受診している割合が3割程度と低いこと。早期の治療が大切なことは明らかです。

 予防にも目を向ける必要があります。特に心原性は高齢者に多く、NVAFの人は経口抗凝固剤の内服が鍵になります。不整脈によって左心房内のよどんだ血液が固まるのを防ぐための薬です。アテローム血栓性やラクナ梗塞では抗血小板剤が再発予防に用いられます。

 ただ、生活習慣病のリスクとされる高血圧、糖尿病、脂質異常、飲酒、喫煙なども大きな影響を及ぼします。血液サラサラの薬を内服していれば安心というわけではないことも知っておいて下さい。

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〈小久保安昭(こくぼ・やすあき)〉 1971(昭和46)年、愛知県生まれ。山形大学医学部卒業、医学博士。専門は脳神経外科学。2010年から病院教授。

 

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