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(17日、平昌五輪・ノルディックスキー・ジャンプ男子個人ラージヒル)

 45歳の葛西紀明(土屋ホーム)には、五輪での夢が二つある。一つは、まだ手にしていない金メダルをとること。二つ目は「家族を五輪に連れていく」ことだ。冬季史上最多の8回目の五輪で、二つ目の夢がようやく果たされた。

 この日の試合を観戦したのは、妻怜奈さん(33)、娘の璃乃ちゃん(2)、姉の浜谷紀子さん(48)。19日の団体戦も応援に駆けつける予定だ。

 葛西は五輪に出るたび、伊東大貴(雪印メグミルク)、竹内択(北野建設)ら後輩たちの家族を現地で見かけ、「毎回、うらやましく思っていた」という。「五輪のすごさ、雰囲気を味わって欲しい」

 この日は、教え子の思いも背負っていた。所属する土屋ホームで指導する女子の伊藤有希は、12日の試合で追い風に遭う不運があり9位。帰国前日の13日、伊藤は選手村の葛西の元を訪れ、大粒の涙を流した。「オリンピックに一緒に出場できて、幸せでした」。受け取ったバレンタインチョコレートの箱には、こう書いてあった。

 だが、この夜は葛西特有の鋭い飛行曲線を描けず、1回目で121メートルの33位。2回目に進めず、「ちくしょう」とひと言だけ吐いて、取材エリアを去った。(勝見壮史)