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(18日、平昌五輪・アルペンスキー男子大回転)

 マルセル・ヒルシャー(オーストリア)のターンは、雪煙が派手に舞い上がらない。ブレーキがかかっていない証拠だ。

 コース中盤、多くの選手がバランスを崩した急な斜面でも、スピードは落ちない。1回目はコースの最短距離を攻めるように滑って1分8秒27でゴールし、100分の1秒を争う競技で2位に0秒63の大差をつけた。

 ワールドカップ(W杯)通算55勝、史上初の総合6連覇中の28歳。「W杯と何も変わりはない」。重圧は感じない。2回目もミスなく滑って1分9秒77。合計で2位に1秒27差の圧勝だった。3回目の五輪で初めて優勝した複合に続き、今大会2個目の金メダルを手にした。「興奮している」

 日本選手団のスキーのチームリーダーで、2006年トリノ五輪回転4位の皆川賢太郎氏は会場でその滑りを見て、舌を巻いた。「足首の力で板を操作できる。あれは、かなわない」。ターンの時間を短くすることで、減速しにくい滑りができているという。

 昨年8月の左足首骨折の影響は、みじんも感じさせなかった。ヒルシャーは「今のところ、最後の五輪だと思っている」。次戦は22日。個人3冠をかけ、最も得意な回転に臨む。(勝見壮史)

初出場の石井は30位

 28歳で初出場した石井智也(ゴールドウイン)の五輪は30位で終わった。1回目は前半の緩斜面でリズムに乗れず首位と4秒16差の35位。2回目は「積極的な滑りができた」と、順位を上げた。2008年世界ジュニア選手権の回転で3位になったとき、優勝したのがこの日金メダルを獲得したマルセル・ヒルシャー(オーストリア)だった。6秒74差をつけられ、「技術的な差がタイムに表れている」と冷静に受け止めていた。