[PR]

 スキージャンプ団体で19日、日本勢が平昌での最後の跳躍に挑んだ。今大会、選手の多くが身につけてきたのが、特注デザインのヘルメット。神奈川県綾瀬市の木目田(きめだ)豊さんが、そのペイントを手がける。選手の性格を知り尽くし、特別なデザインに仕上げてきた。

 「ダメでした」。深夜、個人戦を終えた葛西紀明(45)たちから、木目田さんにLINEメッセージが届いた。木目田さんはたわいもないやりとりで応じた。「でもやっぱり葛西君、悔しいでしょうね。調子は悪くなさそうなんだけど」

 2人の出会いは2005年。当時、ジャンプ選手のヘルメットは白い無地など既製品ばかり。車やバイクレーサーのヘルメットを手がけ、国際的な受賞歴もある木目田さんが、知人を通じて葛西と知り合い、デザインを引き受けた。06年トリノから始まり、五輪のたびにペイントしてきた。いまや若手選手がこぞってデザインを依頼。平昌では、小林陵侑(21)や竹内択(30)ら6選手が特注ヘルメットをかぶる。

 今回の葛西用は、全体を黄色くペイントし、頭の左右に金箔(きんぱく)で描かれた2羽の朱雀(すざく)。朱雀の目には、妻と娘のイニシャル「R」の文字がある。夜間のライトで映えるよう、下地の黄色には輝く粉末を混ぜた。軽量化を求め、使う塗料は25グラムだけ。「この軽さで、この仕上がりはうちしかできない」と胸を張る。

 デザインにはこだわりが詰まる。葛西は「黄色」、小林は「赤」――。各選手のラッキーカラーをベースに、デザインを練る。

 選手たちをホームパーティーに招き、たわいのない会話を通じて性格を把握。LINEで冗談を言い合うほど親しくなるのが「木目田流」だ。たとえば伊藤有希(23)には「実は勝ち気な性格だから、シャープな印象に」と発想が膨らむ。デザインを手がけて13年。「スキー業界にもオシャレが浸透してきたかな」と話す。

 「葛西君が白いヘルメットならどう思います? 飛んだ姿のインパクトが違う。レジェンドらしくないでしょ」。若者が格好良さに憧れてスノーボードを始めるように、スキー界も盛り上げたいという。(高野遼)

こんなニュースも