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 ノリさんに、あの時の恩返しを――。19日、竹内択(30)=北野建設=が強い思いを秘めてスキージャンプ団体に臨んだ。4年前の冬、竹内は突然の難病に襲われた。ソチ五輪でメダルに導いてくれた葛西紀明(45)=土屋ホーム=への感謝を胸に、五輪の舞台に帰ってきた。

 2014年ソチ五輪の直前、竹内は絶好調だった。ワールドカップでトップ10入りが続いた。

 五輪まで1カ月あまり。病魔が竹内を襲った。せきが止まらず、高熱に全身の痛み。遠征を離脱して帰国すると、白血球の一種が増えて全身の末梢(まっしょう)血管に炎症が起きる難病の可能性があると診断された。

 1カ月の入院を余儀なくされた。大量のステロイド剤投与の影響で、筋力が一気に落ちた。

 最も心配した一人が、葛西だった。竹内とは家族ぐるみの付き合い。オフに一緒に旅行する仲だった。発症時も同部屋に泊まっていた。

 竹内は病気を仲間にしか明かさなかった。調子は戻らなかったが、団体戦の一員としてソチで銅メダル。個人の銀メダルで涙を見せなかった葛西が、泣いた。「択のためにメダルが欲しかった。自分の銀よりうれしい」

 竹内は誓った。今度は俺が頑張って、ノリさんにメダルを取らせる――。

 闘病しながらの4年間が始まった。毎月のように病院に通い、検査を続ける。海外遠征にも薬が欠かせない。ぜんそくのような症状は今もある。

 「前回は、ノリさんに取らせてもらったメダル」と竹内は言う。「取った時も悔しさが7、8割。平昌は自分が引っ張っていって、団体でメダルを取りたい」

 17日の個人ラージヒルでは、葛西を上回る22位。団体では1番手として、チームの先陣を切った。(高野遼、勝見壮史)