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 夏目漱石の代表作のひとつ「吾輩は猫である」のアラビア語版「アナ・キットゥ」がエジプトで出版された。カイロ大学文学部日本文学科教授マーヒル・エルシリビーニーさん(58)が翻訳した。「猫の立場から人間を観察して考えるという発想が面白い。単に日本人というのではなく人間について考察している。世界的に読まれている日本文学をアラブ人にも知ってほしい」と話している。

 マーヒルさんは3年前に「猫」を読み、半年ほどかけて翻訳していた。日本理解と日本研究に役立ててもらうための国際交流基金の「翻訳出版助成」事業として昨秋、3巻構成のうちの上巻として出版された。

 マーヒルさんの漱石との出会いは日本語を学んでいた1980年代。漱石の名前はよく聞かされ、日本語力をつけるために「坊っちゃん」を読むのを勧められたという。漱石の著作を翻訳するのは「坊っちゃん」「こころ」に続いて3冊目。

 マーヒルさんは「アラブ人にとって日本人はよく働くが、まじめで冗談も言わないという印象が強い。日本人は笑ったり泣いたりするし、ユーモアもあるということを知ってほしいと思って翻訳している」と話している。(カイロ=翁長忠雄)