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 平成16(2004)年6月20日の朝日新聞朝刊1面を見て、背筋に冷たいものが走るのを感じた文化財関係者は少なくないだろう。

 「高松塚『白虎』劣化進む 輪郭ぼけ変色」の見出しとともに掲載された写真は2枚。いずれも1972年に奈良県明日香村の高松塚古墳でみつかった極彩色壁画のひとつ「白虎(びゃっこ)」だった。発見直後に写された1枚は顔や首が鮮やかだが、刊行されたばかりの文化庁監修の写真集から接写された1枚は輪郭が消えかかっていた。朝日新聞橿原支局長、大脇和明(おおわきかずあき)記者(58)のスクープだった。

 その1年ぐらい前から、文化財に詳しい村民らは高松塚をめぐる「異変」に気づいていた。「最近、文化庁職員が頻繁に古墳に立ち入っている」「内部で防虫剤を多用しているらしい」「白い防護服が何着も廃棄されている」――大脇記者の耳に入ってきたのは奇妙な話ばかりだった。

 石室内では頻発するカビの処理…

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