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 薬はなるべく少なくして――。厚生労働省は21日、高齢者に適正に医薬品を使うための指針案を有識者会議に示し、おおむね了承された。お年寄りは複数の病気を持つことが多く、多くの薬を使いがちだ。指針案は医師や薬剤師向け。主な副作用を示し、薬の減量や中止で症状が改善することもあると指摘して減薬を促す。厚労省によるこうした指針は初めて。

 厚労省によると、薬局で薬をもらっている75歳以上の4割が1カ月間で5種類以上、25%は7種以上を一つの薬局で受けている。65~74歳でも3割弱は5種類以上という。複数の薬局を利用する人もいて、1人あたりの薬の数はさらに多いとみられる。その一方、高齢になると体内で薬の濃度が上がりやすくなり、成分が体外に排出されるまでにかかる時間も延びる。薬の副作用に薬で対処する悪循環もみられる。

 指針案は、のんでいる薬による治療が有効なのか、薬以外の方法はないか、検討することを勧める。さらに、複数の医療機関・薬局を利用して1人が同じ種類の薬を複数のんでいないかを確認することを求めている。ただし機械的に薬を減らすと、持病が悪化する恐れがあるので減量や中止は慎重に行い、経過観察することを推奨する。

 主な副作用とその原因とみられる薬の例示もした。ふらつきや転倒は降圧薬によることがある。食欲の低下は非ステロイド性抗炎症薬、便秘は睡眠薬が原因になりうるという。案の作成に関わる秋下雅弘・東京大教授(老年病学)は「3種類以上の薬ののみ合わせに関するデータはなく、どんな相互作用があるのかがわからない。薬はなるべく少ないほうが副作用は少ない。ただし患者の自己判断で薬を減らすのは危険なので、医師や薬剤師に相談してほしい」と話した。

 有識者や一般の意見を聞いたうえで、4月以降に指針を正式に決める。厚労省の担当者は「これまでも各学会のガイドラインはあったが、それぞれの内容を横断的にまとめ、使いやすい指針をめざした。医療現場に浸透させたい」と話す。

福地慶太郎

副作用症状と原因となる主な薬

【症状】原因となる主な薬の種類

【ふらつき・転倒】中枢性などの降圧薬、睡眠薬、抗不安薬

【記憶障害】中枢性などの降圧薬、睡眠薬、抗不安薬

【抑うつ】中枢性降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬

【食欲低下】非ステロイド性抗炎症薬、緩下剤、抗不安薬

便秘      睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬

※厚労省の指針案から

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