拡大する写真・図版 ハワイ・マウイ島を訪れた渡部夫妻(ファーストトラック提供)

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 ノルディックスキー複合団体、渡部暁斗(29)の力走を、ともに五輪出場を果たした妻が見守った。

 妻は、フリースタイルスキー女子ハーフパイプに出場した由梨恵(29)。早稲田大スキー部の同級生で、2014年春に結婚した。海外遠征があれば一緒に過ごすのは月に2~3日。互いにアスリートとして競技に打ち込んできた。

 「一緒に五輪を目指してきた?」と尋ねられ、暁斗は言う。「僕は、そういうのは気持ち悪いと思ってしまう。特別な会話はしない」

 それでも、肝心なところで暁斗は由梨恵の競技を支えてきた。

 結婚当初、アルバイトで遠征費を稼ぎながら五輪を目指していた由梨恵。結婚後、暁斗は言った。

 「アルバイトもう辞めたら? 足りないお金は出すから」。五輪までの時間は限られる。一番大事なことに力を注ぐべきだという考えだった。

 競技に専念した由梨恵は、大けがを乗り越え、念願の五輪に出場。予選で敗れたが「経験したことのないこともたくさんできた。楽しい舞台でした」と話した。

 この日、由梨恵は笑顔で観客席に姿をみせた。選手村では「お疲れさま」と普段通りの会話も交わしたが、生での観戦は今大会初めて。アンカーとして4位でゴールした暁斗に最前列から拍手を送った。「いつも通り、ひとまずお疲れと言いたいです」。五輪後も、それぞれ大会や練習に向かう。ゆっくり2人で過ごすのは、もう少し先になりそうだ。(高野遼)