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 化学大手の宇部興産は23日、製造するポリエチレン製品の一部で、顧客と約束した製品検査を実施せず、出荷時につける検査成績表に虚偽のデータを記入していたと発表した。不正は遅くとも1990年代には始まり、昨年12月に不正を把握した後も出荷を続けていた。山本謙(ゆずる)社長は東京都内で開いた記者会見で、「内部統制が脆弱(ぜいじゃく)だった」として謝罪した。

 未検査だったのは、電線や通信ケーブルを覆う被覆材料などに使われるポリエチレン製品。千葉石油化学工場(千葉県市原市)で生産し、グループの「宇部丸善ポリエチレン」(東京都港区)が50社に販売してきた。宇部興産は製品の品質に問題はないとしている。

 顧客と約束する検査項目は製品の強度や伸びなど最大75項目。このうち16項目について、担当する部署が試験や分析を行わず、顧客への検査成績表には過去の実績を使いまわした偽のデータを書き込んでいた。

 不正を誘導するような指南書などは見つかっておらず、組織的不正かどうかは分からないという。外部弁護士らによる調査委員会が、不正の実態や原因を調べ、宇部興産がつくる再発防止策の妥当性も検証して3月末をめどにまとめる。

 宇部興産は昨年11月、神戸製鋼所などの品質不正問題を受けてグループの全製品の品質調査を行い、12月11日に不正が発覚。それにもかかわらず一週間以上たった19日まで出荷を続けた。また、経団連が昨年12月に会員企業に対して不正の有無を調査するよう求めたが、同社は不正を把握しながら対応しなかった。今月22日になってようやく経団連に報告した。

 不正から2カ月あまり遅れた公表について山本社長は「顧客への説明を優先させた。やるべきことをやったという認識」と話した。

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 〈宇部興産〉 1897(明治30)年、炭鉱開発を目的に山口県宇部市で創業。その後、セメントなどの建設資材や化学、医薬品などへ進出した。2017年3月期の売上高は6165億円で、ナイロン樹脂やポリエチレンなどの化学分野が41%、建設資材分野が36%を占める。ナイロン樹脂のうち、自動車部品や食品包装に使われる製品では国内トップシェアで、世界でも上位に入る。