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ザ・コラム:稲垣康介(編集委員)

 メモを見て原稿を打ちながら、不覚にも涙ぐむ自分に驚いた。日本人記者に見られたら恥ずかしい。周囲を見回す。大丈夫。皆、視線はパソコンに釘付けだ。原稿はすぐに仕上がった。この物語を早く伝えたい。その気持ちが後押ししたのだと思う。

 平昌冬季五輪のスピードスケート女子500メートルで、小平奈緒の金メダルに立ち会う幸運に恵まれた。そのときの話だ。

 レース後、3連覇を逃した李相花(イサンファ)(韓国)の瞳から涙があふれ出た。「イ・サンファ」コールが観客席からわき起こる。李は太極旗を持ち、リンクを回り始めた。

 待っていた小平に李は抱きかかえられた。耳元でささやかれると、小平にしがみついた。心から信頼する人間にしか、あんな風に身をゆだねたりはしない。最強のライバルの絆の深さ。私は知らなかった。

 例えば、テニスでも試合後、ネット越しに健闘をたたえあい、握手をする習慣がある。視線も合わせない選手もいれば、心から勝者を祝福できるトッププロもいる。負けたときこそ、選手の品格がにじみ出る。

 小平と李の友情物語は、2人が並んで座った記者会見で明かされた。

 「チャレッソ」。小平は韓国語…

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