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 27日から28日未明にかけて行われた将棋の公式戦で、「420手」という異例の長手数の将棋が生まれた。通常の4倍近い手数で、結果は引き分け。指し直し局で決着がついたのは、対局が始まってから約19時間後だった。

 激闘を繰り広げたのは、中尾敏之五段(43)と牧野光則五段(29)。羽生善治竜王(47)への挑戦者を決める第31期竜王戦(読売新聞社主催)の予選に当たる対局で、持ち時間は各5時間。使い切ると、1手1分未満で指す必要がある。

 東京都渋谷区の将棋会館で27日午前10時に始まった戦いは、双方の玉将が相手の陣地に進入する「入玉」に成功。互いに相手の玉将を捕まえるのが困難になり、「どちらの駒の数が多いか」が勝敗のカギを握る展開となった。中尾五段の駒が1枚足りない状況が続いたが、気迫のこもった攻防の末に相手の駒を1枚取ることに成功。28日午前1時44分、双方の合意により、420手で持将棋(じしょうぎ)(引き分け)が成立した。日本将棋連盟によると、記録が整っている1954年以降の公式戦では最も長い手数だという。

 指し直し局は2時14分に開始。4時50分、100手で牧野五段が勝った。牧野五段は「この時間まで対局したのは初めて。(420手という手数は)いい記念になった」と疲れた様子で話した。中尾五段は「負けだったので、持将棋になったのは意外だった。手数のことは気にしていなかった」と振り返った。中尾五段は規定により、3月末までにあと2勝しないと引退を余儀なくされる状況での対局だった。

 将棋の対局は通常、100~120手で決着がつくことが多く、300手を超えるのも極めて珍しい。(村瀬信也