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 安倍晋三首相は28日午前の衆院予算委員会で、働き方改革関連法案をめぐる労働時間の不適切なデータ問題について「実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない」と述べ、関連法案の国会提出時期を3月中旬以降にする意向を表明した。立憲民主党の逢坂誠二氏の質問に答えた。

 首相はデータ問題について「裁量労働制の議論に関連して、厚生労働省のデータに疑義があるとの指摘を受け、精査をせざるを得ない事態となったことは重く受け止めている」とし、「国民に疑念を抱かせることとなったことは、誠に遺憾だ」と述べた。今後行うとした実態把握については、首相は「方法は厚生労働相を中心に検討していきたい」とし、期間は「相応の時間を要する」と述べるにとどめた。

 菅義偉官房長官は28日の記者会見で法案の提出時期について、「実態把握をした上で、となるというのは、当然のことではないか」と述べた。

 首相は通常国会冒頭で、裁量労働制の対象拡大を盛り込んだ働き方改革関連法案を提出し、成立させる方針を表明してきた。政府は当初、2月中の提出を目指していたが、裁量労働制の労働時間に関する首相答弁の撤回や、根拠となるデータの「異常値」の発覚を受け、提出時期が遅れていた。首相は予算委で「前に進めない」という答弁の具体的な内容は説明しなかったが、今後、法案提出時期の先送りや内容の修正などを検討するとみられる。

 一連のデータ問題をめぐっては、残業時間の上限規制など8本の法案を束ねた関連法案から、野党が強く反発している裁量労働制の対象拡大と高度プロフェッショナル制度の創設を分離するべきだという声が与党内にも出ている。

 28日の衆院予算委は2018年度予算案に関する締めくくり質疑で、首相ら全閣僚が出席した。予算案は同日正午過ぎに予算委で可決された。午後の衆院本会議でも可決され、参院に送られる見通しだ。予算案は憲法の規定で参院に送られてから30日で自然成立することから、今年度中に成立することになった。

データ「異常値」さらに57件

 働き方改革関連法案をめぐる労働時間の不適切なデータ問題で、厚生労働省は28日の衆院予算委員会で、一般労働者に関してさらに57件の「異常値」が見つかったと明らかにした。

 異常値が見つかったのは2013年度の「労働時間等総合実態調査」の一部。一般労働者の残業時間のデータで、1日や1週間の残業時間は「ゼロ」なのに、月間でみると同じ人が残業しているケースなどが57件判明した。この調査を巡っては、これまでに365件の異常値が見つかっている。

 立憲民主党の岡本章子議員が不自然なデータがあると指摘。厚労省の山越敬一労働基準局長が異常値の存在を認め、「精査しているところだ」と述べた。