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 透明なキューブ状の瓶に入った、彩り豊かなペーストや粉。冷蔵ケースの白い光のなか、種類ごとに並べられた様子は高級コスメ売り場のようにも見える。瓶の側面、金色に光る文字は「Yuzugoshow(ゆずごしょう)」。結婚式の引き出物にも使われるおしゃれなゆずこしょうは、佐賀市川副町の川原食品の工場で作られている。

 工場の建物に足を踏み入れると、空気にふわりとユズの香りがした。社員13人と川原啓秀社長(55)ら役員2人で商品の開発から製造、直売店での販売を担う。特徴的な商品デザインは川原社長自身が考えているという。

 1918年創業の100年企業。海が近く、米どころの土地柄を生かし、海産物のかす漬けから商いを始めた。塩漬けの技術などを生かしてゆずこしょうを作り始めたのは50年余り前。今、販売はかす漬けが九州、ゆずこしょうは東京が取引先の中心だ。

 ゆずこしょうは元々、円筒状の容器に入った常温保存の商品を作っていた。10年ほど前、冷蔵保存が必要となるが塩分濃度を抑えた商品を開発する際、「他と違うと示すには、形も重要」と、今の瓶詰のスタイルに。当初は客から「ゆずこしょうに見えない」との声もあったが、「キッチンテーブルに置いて絵になる」調味料を目指した。

 時をほぼ同じくして、東京の取引先の問屋が店を畳んだ。川原さんは販路を求め、東京のレストランを訪ね歩いた。当初はゆずこしょうは東京でなじみがなく「ゆずと唐辛子なんだから『ゆず唐辛子』でしょ」と言われたこともあるが、テレビが取り上げるなどの「ゆずこしょうブーム」にも押され、徐々に市民権を得た。今は和食、フレンチ、イタリアンのシェフが同社の商品をメニューに取り入れているという。

 東京営業で得たニーズは、商品開発にも役立った。ペーストだけだった商品は、ユズ果汁を加え溶けやすい液状、振りかけることのできる粉末にも広がり、果汁だけの商品も開発した。

 原材料は全て県内産だ。佐賀市富士町の直営のユズ園で育てる無農薬のユズに、同町の契約農家から仕入れる唐辛子、唐津・加唐島の塩を組み合わせる。原料を新鮮なうちに加工でき、生産者との信頼関係も築けるとのこだわりだ。

 ゆずこしょうの使い方の幅を広げることにも力を入れる。直売所に併設のカフェの目玉は、ゆずこしょうのシフォンケーキ。川原さんのおすすめはホワイトクリームソースに合わせる食べ方で、「味がしまって、結構いける」という。次なる目標は世界だ。「日本を代表する調味料にしたい。まだワサビには負けてますから」(杉浦奈実)