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 奈良・御蓋山(みかさやま)のふもとにある春日大社は今年、創建1250年の節目を迎えた。記念の特別展「国宝 春日大社のすべて」が4月14日、奈良国立博物館で開幕する。朝廷から庶民まで広く信仰を集め続けてきた春日大社の歴史を、ゆかりの美術品や工芸品、文書など約220件でたどる。

 平城京を守るため768年に建てられた社殿が、春日大社の始まりと伝わる。平安時代には摂関家のひとつ藤原氏の氏社として栄えた。神と仏が結びついた神仏習合が盛んになると、霊験あらたかな社として多くの参詣者(さんけいしゃ)を集めてきた。

 1250年の歴史を物語る宝物のなかでも注目されるのは、平安時代の美術工芸品や甲冑(かっちゅう)や刀剣などの武具だ。多くが摂関家からの奉納品で、数の多さと質の高さから、春日大社は「平安の正倉院」と呼ばれる。

 信仰の広がりは「春日宮曼荼羅(かすがみやまんだら)」と呼ばれる絵からうかがえる。参詣したくてもできない各地の人たちは、境内が描かれた絵に向かい祈りを捧げてきた。神仏習合の世界観も表現されている。

 絢爛豪華(けんらんごうか)な宝物は、長いものでは千年近く納められ、大切に守られてきた。タイムカプセルのように当時のわざを見ることができる。名工の誉れ高い伝統工芸界の作家による復元模造品も展覧会の見どころのひとつ。修理で学んだわざと知識によって生みだされた現代の宝物が、春日大社の信仰を未来へと伝える。(大王恵里子)

花山院弘匡宮司に聞く見どころ

 春日大社の花山院弘匡(かさんのいんひろただ)宮司に展覧会の見どころを聞いた。

 ――「平安の正倉院」と呼ばれるのはなぜですか?

 奇跡的とも言えるほどの保存状態を保っている宝物が多数あります。神様にご加護を願うために御殿に納められ、守られてきたからです。春日大社以外の所蔵品で、いわば「里帰り」出品される文物もあります。

 ――いくつかの宝物の復元模造品も展示されます。

 現代の復元模造品には、工芸界のトップとして技術継承に努力されているみなさんの知恵が結集されています。復元模造品をご覧いただくことで、まばゆいばかりの宝物に心ひかれ、神様に奉納したいと思った昔日の人々の感激がご理解いただけると思います。

 ――奈良国立博物館は、春日大社の境内地だったのですか?

 そうです。かつて東西の両塔が立っており、博物館の敷地には塔跡が残っています。ゆかりの地での展覧会に合わせ春日大社にもお参りいただければ、長きにわたる信仰をより深く感じていただけると思います。