[PR]

「トランプ王国」熱狂のあと ラストベルトに住んでみた:10

 「明日の朝、車を修理に出すことになったから、修理工場まで迎えに来て、家まで送ってくれないか」

 私がオハイオ州トランブル郡のアパートに住み始めると、住人からいろいろ声がかかるようになった。平日の夜に「送ってくれ」と電話を寄越してきたのは、近くで暮らす元製鉄所勤務のジョセフ・シュローデン(63)。私がラストベルトで最も長く付き合ってきたトランプ支持者の1人だ。製鉄所の要、溶鉱炉で38年以上働いてきたことを何よりも誇りにしている。通称ジョー。

 指定された時間に車の修理工場まで迎えに行き、自宅まで送り届けた。その晩、またジョーから電話がかかってきた。「明日の朝はヒマか? コーヒーでも飲みに行くか」

 住み込み型の取材の最大の強みは、こういった急な誘いに応じられることだ。私は何度かニューヨークに戻っているときに誘いの電話を受け、「残念だけど、いまオハイオにいないんだよ」と断っていた。

 今回は同じ町で暮らしている。二つ返事でOKを出した。

意外な展開、株の話

 ジョーは元労働組合員で、生涯ずっと民主党候補に投票してきたが、2016年は初めて共和党候補トランプの支持に回った。民主党候補への支持を呼びかける党の役職「選挙区幹事」に就いていたこともあり、ジョーの転向はちょっとした話題になり、地元の民主党幹部は「ジョーまでもがトランプ支持者になっちまった」と頭を抱え込んだ。

 2016年3月、最初のインタビューでジョーはこう語っていた。「俺は長らく民主党の幹事で、民主党の地元政治家にも知り合いがたくさんいる。でも今回はトランプに投票するために党を変えなくてはいけなかった。ヒラリーはオバマ3期目にしかならない。(当時74歳の)サンダースは養護施設に入るべき年齢だ。選択肢がなくなってしまった。トランプは、政治の世界ではフレッシュだし、賢い男だ。だから彼に一か八かかけてみようと思ったんだ」

 いま振り返っても、あの選挙を象徴する有権者だと思う。トランプ政権に満足しているのか? じっくり聞いてみたいと思っていた。

 待ち合わせは午前8時、喫茶店。ジョーは満面の笑みでソファに座っていた。

 「なんでそんなにうれしそうなのか?」

 私がそう聞くのを待っていたかのように、ジョーが言った。「見ただろ? 史上最高を記録したぞ」

 私が勘違いして、「支持率は歴代大統領の中で最低ですが」と返すと、「違う、おれは株価の話をしているんだ!」

 株価? この1年半、ジョーを何度もインタビューしてきたが、株価の話など一度も出たことがなかった。「ジョー、株持ってるの?」

 ここからジョーの投資家としての話が幕を開けた。ジョーだけでなく、トランプ支持者の多くが株価を支持の理由にあげる。その一例と思って聞いて頂きたい。

■ちっぽけなジャ…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

こんなニュースも