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 リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで逮捕された鹿島の営業担当部長、大沢一郎容疑者(60)がすでに発注された品川、名古屋両駅の工事について、大手ゼネコン他社に「(工事を受注しに)いかない」と伝えていたことが関係者への取材でわかった。名古屋駅には今後発注予定の工区があり、事前の調整で、この工区を鹿島が受注することで合意していたという。

 東京地検特捜部も同様の情報を把握しているとみられ、大沢部長が将来の発注分の工事受注を見越した上で、他の大手に協力する意思を伝えたとみて調べている。大沢部長は容疑を否認している。

 両駅の主要工区はJR東海がスーパーゼネコン4社を中心に指名し、価格などの交渉を重ねる「指名競争見積方式」で発注されてきた。発注済みの品川駅北工区は清水建設の共同企業体(JV)、南工区は大林組JV、名古屋駅中央西工区は大林組JVがそれぞれ受注した。名古屋駅は未発注分が残っている。

 関係者によると、大沢部長は過去の業者選定過程で、他社のリニア担当者に対し「うちは(本気で受注しには)いかない」という社内の方針を伝えていた。鹿島が未発注分の名古屋駅工区を受注できる合意があったことが念頭にあったとみられる。大沢部長は手帳に、他社の担当者との会合日程を書き込んでいたといい、特捜部が当時のやりとりを調べている。

 鹿島幹部は「大沢部長には、受注を目指す工事を決める権限は無かった」と反論。同社は独禁法が定めた課徴金減免制度に基づく違反の自主申告を見送っている。