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 令状なしで捜査対象の車両にGPS端末をつける捜査手法を「違法」とする判決を勝ち取った弁護士の亀石倫子さん(43)が5日、参院予算委員会を傍聴した。亀石さんは昨年、「共謀罪」法でも反対の論陣を張った。国会審議はどう映ったか。

 自宅のある大阪から、午前5時起きで新幹線に飛び乗り、傍聴に駆けつけた。到着時は自民党の井原巧氏(愛媛選挙区)が質問していた。安倍晋三首相とのやりとりでは地元の名菓や四国新幹線の実現が話題に。

 「与党質問は法案の正当性を説明する答弁を引き出すものだと思っていたけど、こんな話をしているんですか。地元の有権者はこれで喜ぶんでしょうか。私だったら嫌ですけど……」

 次に質問に立ったのは、民進党の足立信也氏。森友学園との国有地取引をめぐり、財務省が決裁文書を書き換えた疑いを取り上げた。しかし、政府側は答弁を避け続ける。

 「何を聞いても、同じような答弁を繰り返すシーンは『共謀罪』の審議でも見た。国会軽視と言われても仕方ない。不誠実な答弁ですよね。裁判だったら、裁判長が訴訟指揮で注意するでしょう」

 足立氏は働き方関連法案も取り上げ、加藤勝信厚生労働相らに答弁を求めた。亀石さんは深くうなずきながら聴き入った。以前携わった風営法違反の裁判で、国会議事録で同法に関する答弁を読みあさったという。

 「当時の大臣が国会でこう答弁していたということは、裁判でも非常に大事な証拠になった」

 一方で、注文もつけた。

 「質問が長くて、何が聞きたいのか分かりづらい。意味のある議論を重ねることと同時に、有権者に審議を見てもらうことも意識してほしい」

 午前中最後の質問者は民進の石橋通宏氏。石橋氏も働き方改革を中心に矢継ぎ早に質問した。

 「質問意図を冒頭に明示していて、工夫が感じられる。刑事裁判で裁判員に質問の意図が伝わらないと意味がないように、議員も国民に伝わらないと意味がないのではないでしょうか」(中崎太郎)

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 かめいし・みちこ 1974年生まれ。北海道小樽市出身。大学卒業後、通信会社勤務を経て、2009年に弁護士登録。刑事専門の法律事務所に6年間勤務し、200件以上の刑事裁判を担当。16年に独立した。最高裁大法廷が令状なしのGPS捜査を「違法」とした裁判も担当し、現在はタトゥーを彫る行為が医師法違反とされた事件で主任弁護人を務める。