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 世界中で幅広い世代に愛され続けているムーミンシリーズ。ムーミンと生みの親、トーベ・ヤンソン(1914~2001)に魅了され、25歳でフィンランドに渡った三重県四日市市出身の翻訳家、森下圭子さん(48)は「ヤンソンは、未熟な自分でも素直に生きることの大切さを教えてくれる」と言います。生涯創作活動に打ち込んだヤンソンの人生は、日本社会で生きる女性へのヒントが詰まっているようです。

 フィンランドは、森と湖の国です。特に森はフィンランド人の生活の一部で、季節を問わずよく森に出かけます。特に目的やゴールが決まっているわけではなく、虫を捕まえる人もいれば、鳥を観察したり、草花の香りを楽しんだりする人も。森を歩くと、人って好きなものが全然違うんだなとあらためて気づかされます。私は木が好きですね。まっすぐに伸びているわけではないけれど、それぞれ個性的で美しいんです。

 そんな多様性を尊重する世界観にあふれているのが、ムーミン谷のお話です。登場するキャラはいろいろな見た目をしていて、何の生き物なのかもよく分からない。でも自由に、お互いを尊重し合いながら助け合って生きていく。みんな完璧ではなくてどこか欠けているけれど、未熟な自分をありのまま受け入れ、人生を全うしようとしています。

 日本では「模範的な良い大人になれ」というプレッシャーがありますが、あいまいな「良い大人」よりも、自分らしく生きている人の方が魅力的だとフィンランドに来て実感しました。たとえば、ある地元食堂の主人は、お客さん一人一人の好みや分量を把握していて、工事現場で働いている作業員には、ジャガイモを多めに盛ったり。責任はともなうけど、紋切り型の対応ではなく、それぞれの良識で判断しているんです。

 ムーミンの原作を初めて読んだのは小学生のときでしたが、大学卒業前に偶然読み直して衝撃を受けました。こんなにも自由で多様性に満ちた世界があったんだと。内定が出ていた就職先を断り、ムーミンとヤンソンの研究をするため、単身ヘルシンキ大学に留学しました。フィンランドは初めてでしたが、「合わなかったら、2週間で戻ってくればいいや」と。自分でためた資金だったので、責任は自分にある。迷いはありませんでした。

 ただ当初は今のように自由に生…

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