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 かつて「和牛王国」と呼ばれた鳥取県。その力は一時衰えたが、近年全国でトップクラスの評価を受けている。要因の一つは、和牛の遺伝情報を解読する「ゲノム解析」だ。「鳥取和牛」のブランド確立と、王国復活を目指す。

 サシが入った希少部位の「ヒウチ」が焼き網に置かれ、ジューッと音をたてる。鳥取県米子市の鳥取和牛専門焼き肉店「強小亭(きょうしょうてい)」。友人と訪れた市内の会社員中尾仁志(ひとし)さん(42)が肉を口に運び、顔をほころばせた。「脂身が甘くて、他の牛肉とぜんぜん違う」。塩だけで食べると、肉の味が引き立つという。

 昨年9月、「和牛のオリンピック」と呼ばれる全国和牛能力共進会の全9区(部門)の中の7区(総合評価群)で、鳥取県代表の牛の肉質は1位の評価に輝いた。県の担当課は「『ゲノム育種価(いくしゅか)』の結果が出た」と話す。

 ゲノム育種価とは、良い肉質の子を残す能力を遺伝子検査で評価する手法のこと。これまでは、実際に生まれた子牛の肉質を調べる必要があった。1頭で4~5年かかり、費用も1500万円程度とかさむ。

 ゲノム育種価は、まず牛の血液や毛を採取し、3~4日かけてDNAを抽出。その溶液を「iScan(アイスキャン)」という解析機械にかければ、1日半ほどで種牛としての能力が判定できる。費用も1頭7千円で済む。

 鳥取は他県に先駆けて2012年から、こうした解析を動物遺伝研究所(福島県西郷村)と共同で研究。遺伝子の本体をなすDNAのごく一部の塩基配列の違いと肉質が、どう関係しているかのデータを蓄積し、どの牛を繁殖用として県内に残すかの判断に使ってきた。県畜産試験場育種改良研究室の井上喜信主任研究員は「(データは)雄牛ならば、従来の評価方法と9割程度は一致するようになった」と話す。

 しかし、近年はライバル県も解析に目を向ける。動物遺伝研究所の閉鎖後、解析を引き継いだ独立行政法人家畜改良センター(同村)は他県と競合し、使い勝手が悪くなった。

 そこで鳥取県は18年度、自前で機械を買い、県畜産試験場(同県琴浦町)に研究棟なども新設して、独自の解析態勢を整える。2月の臨時県議会で可決された補正予算に、関連経費約4億9千万円を盛り込んだ。ゲノム解析機の購入は都道府県で初という。

 鳥取和牛の16年の出荷頭数は…

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