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 9日開幕の平昌パラリンピックには日本の「鉄人」とパラ陸上の「顔」が登場する。夏季と冬季の垣根を越え、自分の可能性に挑戦し続けている男たちだ。

佐藤圭一「トライアスロン、スキーのため」

 バイアスロンとスキー距離の佐藤圭一(38)=エイベックス=は昨年夏、肋骨(ろっこつ)を3本と右手親指を骨折した。「自転車で3度、落車しまして」。トライアスロンでも2020年東京夏季大会を目指している。

 生まれつき左手首より先がない。25歳のころ、パラリンピックの新聞記事を見て、未経験のスキーへの挑戦を決めた。カナダで基礎を習い、帰国後も猛練習。10年、30歳でバンクーバー大会に初出場し、バイアスロン3キロ追い抜き(立位)で12位に入った。

 14年ソチ大会は、個人では5種目に出て10位が最高。満足できなかった。「何かを変えないといけない」。夏に取り組み始めたのが鉄人レース、トライアスロンだった。

 水泳、自転車、長距離走で全身の筋力を使い、心肺機能の強化にもつながる。動きの移行があるのも、スキー距離と射撃を合わせたバイアスロンに通ずる。「全てがスキーのためになると思った」。16年リオデジャネイロ夏季大会にも出場し、11位で終えた。

 昨年のバイアスロン世界選手権は自己最高の4位。今季はけがで出遅れたが「できる限りのことをすると決めたので後悔していない」。けがも癒え、万全の状態で平昌に来た。「リスクを取ってやってきたことの全てを見せたい」

走り幅跳びの山本篤、スノーボードで新境地

 夏と冬の「二刀流」は、もう1人いる。08年北京、16年リオ夏季大会の走り幅跳びで銀メダルを獲得した山本篤(35)=新日本住設。今大会からの新競技、スノーボードに挑戦する。

 競技歴は約1年ながら、中学時代から趣味でスノーボードに親しんでいた。高校2年のバイク事故で左足を失った時も「再びスノーボードがやりたくてリハビリも頑張れた」。

 リオ大会直後に平昌を目指すと決めた。昨年には所属先を退社し、プロ選手に転向。約90万円かかるスノーボード用の義足など、陸上競技とは違う負担もある。「安定しない状況にはなったけど、パラ選手がどうやってスポンサーを探すか、どうやれば喜んでもらえるかを考えるようになった。成長できている」と実感する。

 昨年9月に初めて国際大会に出た山本は、世界のトップ選手に技術ではかなわない。ただ、「僕の強みはパラリンピックを経験していること」。義足のジャンパーが新境地に挑む。(菅沼遼、波戸健一)

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