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 支援物資の箱を開けられない、携帯電話を充電するコンセントが足りない――。熊本地震直後の避難所で困ったことを調査した熊本大学の研究者らが、開設からの3日間に必要な25の道具と知恵を詰め込んだ「避難所初動運営キット」をつくった。「あれがあればよかった」という反省を次の災害時に生かそうと、今年1月中旬から販売している。

 つくったのは、熊本地震前から防災教育に取り組んできた熊本大の竹内裕希子准教授(43)の研究室。発生後は学生ボランティアらと各地の避難所を支援した。実際に避難所を運営した自治会など21団体に、反省点や教訓を約1年かけて聞き取ったところ、避難者を受け入れる「初動」に問題が多かったことに気づいた。そこで、必要なものを集めたキットの作製に取りかかった。

 まず、「火気厳禁」「土足禁止」「禁煙」などA4判の案内標識を20枚。「カセットコンロを使う人がいた」「土足での立ち入りを禁止するのに5日かかった」という声を踏まえた。「後から必要だと気づいた」という反省が多かった「女性更衣室」「女性トイレ」の標識も用意した。足りない時に手書きするスケッチブックも入れた。

 6個口の電源タップは、「充電用コンセントの奪いあいになった」という声から。カッターナイフは「支援物資の段ボール箱を開けるのが大変だった」からだ。油性マーカーは「中身が分からなかった」という段ボールに記入するため。黄と黒色のトラロープやテープは、危険な所への立ち入りを規制するのに加え、「後から通路を確保するのが大変だった」との反省も生かした。

 さらに、45リットルのポリ袋は「いろんなことに使える」と30枚入れた。ゴミ袋にも敷物にもポンチョにもなる。ホワイトボード代わりにしていた避難所もあった。

 竹内さんは「キットの完成度は8割。それぞれの避難所に合わせて調整して、完成させてほしい。使い方を考えるのも備えです」。

 すでに約500セットを熊本県内の全市町村に民間の寄付を受けて贈った。税別2万7千円。問い合わせは、熊本大くまもと水循環・減災研究教育センター(096・342・3489、ファクス兼用)。(渡辺純子)

避難所初動運営キットの中身

使用マニュアル▽案内標識20枚一式▽腕章5枚▽スケッチブック1冊▽軍手10組▽電源タップ6個口1本▽ハサミ1本▽カッターナイフ1本▽45リットルポリ袋30枚▽マスク7枚▽ばんそうこう1箱▽ブルーシート約6畳1枚▽油性マーカー赤3本、黒5本▽ボールペン黒10本▽消しゴム付き鉛筆12本▽鉛筆削り1個▽トラロープ1本▽トラテープ1巻▽布粘着テープ1巻▽養生テープ2巻▽メガホン1個▽保安指示灯1本▽懐中電灯2本▽単3アルカリ乾電池8本

 

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