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「トランプ王国」熱狂のあと ラストベルトに住んでみた:11

 金曜の夜、仕事帰りに、まっすぐ帰宅するわけにはいかない。そんな雰囲気はラストベルトの街にもある。

 米中西部オハイオ州トランブル郡の一軒家に肉体労働を終えた男たちが続々と集まった。溶接工、建設作業員、タイル職人。郵便配達人の姿もある。

 週末のたまり場だ。妻やガールフレンドを連れてくる人も多く、10人ぐらいになる。普通の若者と自然と知り合えるので、私も大統領選のころからなるべく顔を出すようにしていた。

 ただ、実際に街にアパートを借りて住み込んだことで、時間を一切気にせずに入り浸れるようになった。帰りの飛行機の便など気にしなくて良い。酔いすぎれば、二階の空き部屋に転がり込むだけの話だ。

 集まった人々は、それぞれ勝手に冷蔵庫から缶ビール「Bud Light(バドライト)」を取り出し、飲み始める。壁に掛かったテレビ2台はアメフトの試合を映し出し、ステレオからは人気ラッパー、イェラウルフ(Yelawolf)の「デイライト(Daylight)」が大音量で流れている。

 トランブル郡は、大統領トランプが2016年の大統領選で、共和党候補として44年ぶりに勝った地域だ。この一軒家に集まる若者のほぼ全員がトランプ支持者だったが、私は昨年10月下旬になって初めて批判を聞いた。

 本稿では、この批判について紹介したい。

 「トランプに投票したけど、今は後悔している。もう二度と、あんな男には入れない」

 自分はどうにかしていた、といった表情で語ったのは、建築作業員ジャーメイン・クーハー(38)。周囲は支持者ばかりだが、そんなこと気にする様子もなく考えを語った。

 ジャーメインは地元の公立高を卒業後、1998年に製鉄工場で働き始めた。父や祖父、おじら「一族の男」は例外なく全員が製鉄所で働いてきたため迷うことなく同じ業界に進んだ。クレーン車や牽引(けんいん)車を操縦し、金属製品の性能を確かめる試験担当者だったが、04年に工場がメキシコ移転を決め、解雇された。

 2年ほど職を転々とした後、やっとアルミニウム工場に雇われたが、ここも5年ほどでメキシコ移転を決めて閉鎖、再び解雇された。「せっかく仕事を覚え、技術を身につけても、工場そのものがなくなってしまえば、どんな積み重ねも無意味だよ」

 ジャーメインはそう言って笑い、2本目の缶ビールを開けた。

 米国の製造業はいずれ海外に出て行く運命にある――。そう思い知り、2度目の解雇の後は長距離トラックの運転手になった。勤務は過酷だった。

 シカゴとカリフォルニアの間2…

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