拡大する写真・図版 【カラー化】漁から帰る夫を待つ妻たち。沖縄タイムスの取材では、複数の人が右側の女性の通称を覚えていた

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 1935年の沖縄。人工知能(AI)技術と当時を知る人たちの話から白黒写真に色をつけると、83年前のくらしが生き生きとよみがえった。雨にぬれた制服と、ぬかるんだ道。にぎわう市場、日焼けした笑顔。撮影の10年後、戦火で失われた日々。現代の技術で、過去への想像が広がる。

現地取材で色を補正

 首都大学東京の渡邉英徳准教授のチームが、人工知能の技術を使ってカラー化し、渡邉研究室で学ぶ與那覇(よなは)里子・沖縄タイムス記者の現地取材により色を補正した。AIの自動色付けは、早稲田大の石川博教授らの研究グループが開発した技術を活用した。

沖縄タイムス記者「色を追いかけて」

 失われた「色」を追いかけて、1935年の白黒写真を現実の風景に近づけていく旅が2017年7月、始まった。当時の白黒写真と人工知能(AI)が色を付けた写真を携えて、ふるさと沖縄に向かった。

 AIは、海は海、髪は髪といったように具体的な「物」を学習し、色を選んでいる。しかし、沖縄特有の赤瓦や農産物などについては、学べていない可能性が高い。当時の色に近づけるには、撮影場所や写り込んでいる物など、さまざまな情報が必要になる。当時を知る人たちを訪ね、町を歩き、図書館で戦前の記述を探している。

 作業を進めている1コマは、セーラー服姿の女子学生が自転車を止めて傘を差そうとしている写真だ。撮影場所は沖縄県立第三高等女学校。戦後、名護高校に統合された。戦前の卒業生4人に話を聞けた。

 白黒写真に「夏の制服だね」「まだ紺色のひだスカートのころ」と話が弾む。色付け写真を示すと、食い入るように見つめ「よくできているね」「芝も木もまさにこの色」「靴も白だったね」と感心しきり。

 一方、「傘の柄はもっと赤い」「カッパはカーキ色」と指摘が出てきた。パソコンで約30種類のカーキ色から近い色を探してもらった。2人が「絶対にこれ」と言って同時に同じ色を指した。土に近い薄いカーキ色で、その色に補正した。

 色付け写真によって呼び起こされる人々の記憶が、83年前の沖縄をよみがえらせようとしている。今後も当時の色に近づけるための作業を進めていく。(沖縄タイムス・與那覇里子)

新聞博物館で写真展

 写真展「よみがえる沖縄1935」を、31日から横浜市中区日本大通の「ニュースパーク」(日本新聞博物館)で開催します。カラー化した写真も含め、約100点を展示します。朝日新聞創刊140周年記念事業です。

 午前10時~午後5時(初日のみ正午から)。一般400円▽大学生300円▽高校生200円▽中学生以下無料。7月1日まで(月曜休館。祝日・振り替え休日の場合は次の平日)。

 4月15日はギャラリートーク、5月26日と6月23日には、白黒写真をカラー化するワークショップもあります。問い合わせはニュースパーク(045・661・2040)。

 日本新聞博物館、朝日新聞社、沖縄タイムス社主催。