[PR]

 シロアリの「老兵」は死ぬリスクが高い最前線で戦い、若い「新兵」は王室近くで近衛兵の役割を担う――。こんな実態を京都大の松浦健二教授(昆虫生態学)らの研究グループが実験で明らかにした。余命の短い高齢のシロアリがリスクの高い仕事を引き受け、若い命の損失を防ぐことで効率的に防御力を保っていると考えられるという。7日、英科学誌に掲載された。

 松浦さんらのグループは、野外で採取したシロアリの女王アリや働きアリ、兵隊アリを、人工的に作った巣に入れて観察した。兵隊アリは巣の防衛に特化した役割を担い、一部の働きアリが脱皮して兵隊になってから約5年間生きるとされる。

 約1カ月後、脱皮したばかりの新兵アリと脱皮から1年以上たった老兵アリの巣の中での配置の関係を調べた。その結果、女王アリの王室がある巣の中心部付近に新兵アリが集中、離れた場所は老兵アリが多かった。

 老兵と新兵では外敵に対する防御力に差はないが、老兵の方が積極的に天敵を攻撃することも別の実験で分かった。老兵がリスクの高い仕事を引き受けることで、より寿命が長いシロアリは先に死ぬ恐れが少ない。松浦さんは「能力でなく年齢による分業で巣全体の損失を少なくできている」と話す。今後、年齢による分業が生まれるメカニズムの解明にも取り組むという。(西川迅)