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 10日のアルペンスキー女子滑降座位で日本勢第1号メダルとなる銀メダルを獲得した村岡桃佳(21)=早大=は、前夜の開会式で旗手を務めた。父の秀樹さん(48)は「式典は零下の気温で2時間続いたので、体調を崩さないか心配でした」と胸をなで下ろした。

 10日午前10時半、競技がスタート。村岡がコースを滑りきると、秀樹さんは「転ばないで頑張りました」と安堵(あんど)の表情をみせた。この時点で2位。順位が表示された大画面をスマートフォンで撮影し「2番目にいるところを今のうちに」と話した。

 ライバルは6人。後に滑る選手が姿勢を崩したり、転倒したりすると「ひょっとすれば、ひょっとする。(メダル)第1号になるかな」。

 全員が滑り終え、銀メダルが確定。秀樹さんは「まさかこんな日がくるとは。本当によかった」と涙ぐんだ。

 父にメダルをかけてあげたい――。村岡はレース前、そう話していた。そんな気持ちを初めて知ったという秀樹さんは「大号泣しました。そんな思いでいてくれたなんて」と声を詰まらせた。

 村岡は4歳の時、病気で突然歩けなくなった。秀樹さんは車いすの生活になった娘を少しでも理解したいと、車いすを使ったスポーツを始めた。車いすテニスや車いすバスケ、そりを使ったパラアイスホッケーに2人で行き、楽しんだ。なかでも車いすマラソンは同時に表彰台に乗るほどのめり込み「幸せな時間だった」と振り返る。

 一方で、障害者スポーツに対する課題も感じた。「車いすが使える体育館は限られていたり、スポーツ用の義足は保険が使えなかったり」。環境面でも、周囲の関心という面でも壁があると感じてきた。

 村岡は2014年ソチ大会に初出場。今回2度目の大舞台でつかんだ銀メダル。「彼女の苦労をずっと見てきたからこそ、うれしさより苦しかったことを思い出してしまう」。会ったらまずは「頑張ったね」と伝えるつもりだ。(西村奈緒美)