人に寄り添い、深まる絆 人口730人の村で働く看護師
神宮司実玲
人口約730人の奈良県黒滝村は、面積の97%を林野が占める。村の診療所で看護師として働く小松由美子さん(40)は、5年前から村で暮らす。
静岡県出身。短大卒業後に看護師になり、神奈川県の大学付属病院に勤めた。骨髄移植の病棟などを担当。全国から入院してくる患者と向き合った。
きっかけは2011年の東日本大震災だった。当時、奈良県天川村の民宿へ年に数回、旅行していた。たまたま本で読んで知った村だったが、時間がゆっくり流れる感じが好きだった。民宿を営む80代の「おっちゃん」の気さくさや、そこで知り合った旅行者仲間とのひとときも心地よかった。
震災後、原発や放射能に関するさまざまな情報があふれていた。その秋に民宿を訪ねた時、おっちゃんに相談してみた。「ここに住みよ」と言ってくれた。
黒滝村の診療所の仕事も、おっちゃんが見つけてきてくれた。神奈川で大学院にも通っていたので、辞退したが、診療所からも「フルタイムで働くのは大学院を修了してからでいいから」と誘われた。
翌年の夏、大学病院をやめ、黒滝村の診療所で働き始めた。家はおっちゃんの民宿。休暇を使って神奈川の大学院に通い、翌春の修了後、黒滝村の村営住宅に引っ越した。
診療所は医師1人、看護師2…
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