[PR]

 韓国で開催中の冬季パラリンピック平昌大会第2日の10日のことだ。パラアイスホッケー1次リーグ初戦、日韓戦がある江陵ホッケーセンターに到着して間もなく、記者の携帯が鳴った。その内容に耳を疑った。「会場にいるチャン・グンソクさんが、香取慎吾さんと会いたいと言っているんだけど」

 朝日新聞のパラリンピックスペシャルナビゲーターの香取さんと取材で行動を共にしていた。一方、平昌パラリンピックの広報大使を務めるチャンさんは、この日、自ら日韓戦のチケットを2018枚購入。応援ツアーに参加したファンを試合に招待していて、自身もその会場にいた。

 日本でも知名度が高い韓流俳優と、韓国でも人気がある日本のスターが顔を合わせたら……。アスリートたちの邪魔になってはいけないと感じたが、パラスポーツを心から応援している2人の、日韓友好の一場面になればとも思った。

 客席の向こうからチャンさんが香取さんのもとへ近づいて来る。香取さんに声を掛けて、階段を数十段下りて、待ち合わせ場所まで誘導した。

 まるで嵐のようだった。2人を近くで見たいファンが押し寄せてきた。スマホの写真に収めようと、無数の携帯電話が向けられた。

 「香取さん、久しぶりです。元気ですか」

 「グンちゃん! 久しぶりだね」

 最後はお互いに「頑張って」と肩を抱き合った。わずか1分ほどの出来事だったが、パラリンピックを応援している日韓スターの「競演」がまぶしかった。

 あの時の光景と重なった。

 約3週間前の平昌冬季五輪のスピードスケート会場。女子500メートルで金メダルに輝いた小平奈緒(相沢病院)が、五輪3連覇を目指して銀メダルに終わった李相花(韓)を抱きかかえたあのシーンだ。

 小平は李に「チャレッソ(よく頑張ったね)」「まだリスペクトしているよ」と声をかけたという。アジアから世界のトップを目指したライバル同士の物語の最後も印象的だった。

 国や地域の枠を超えて志を同じくする者たちがお互いをたたえ合う。五輪に続いてパラリンピックでも、そんなまぶしい場面に出会えたのがうれしかった。(榊原一生)