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 インターネット大手ヤフーのトップが6月に交代します。会長に退く宮坂学社長(50)は「変化の激しいインターネット業界を勝ち抜くために、新たな挑戦と経営幹部の若返りが重要」として、川辺健太郎副社長(43)に後を託しました。ヤフーの新たな挑戦とは。川辺次期社長に聞きました。

 ――1月の社長交代会見で、ヤフーの今を「気鋭の若手ベンチャーと海外のグローバル企業との両ばさみになっている」と評しました。真意は。

 「私自身、ベンチャー出身だが、昔と今では、ベンチャーキャピタルやクラウドが充実するなど、発想一つで大きな会社と勝負できる環境が整った。一方で、ヤフーの事業は基本的に日本国内に限られる制約があり、英語による世界標準のサービスを提供できなかったことから、『テックジャイアント』(グーグルやアマゾンなどの海外IT大手)とは、差がついた」

 ――どう打開しますか。

 「大きく二つある。一つ目はビッグデータのさらなる活用だ。検索や小売りといった100を超える自社サービスで培ったビッグデータや人工知能(AI)技術と企業や自治体が持つデータを組み合わせ、商品企画や混雑・需要などの予測に生かし、生産や物流の最適化などに役立てたい」

 「名付けて『データフォレスト』(データの森)。すでに日産自動車とは販売台数の予測やブランドイメージの把握で、神戸市とは救急車の稼働予測や繁華街・三宮地区の再開発の効果の予測などで、実証実験を始めていて、来年度中の事業化を目指す。このほかにも江崎グリコや福岡市などとも組む」

 ――もう一つは。

 「『ネットとリアル(現実)の融合』、具体的にはモバイル決済の強化だ。ネット決済サービス『ヤフーウォレット』には約4千万人の利用者がいる。ヤフーウォレットのスマートフォン対応を強化し、『QRコード』を導入するなどして消費者・売り手ともに利便性を高めたい。日々の支払いのすべてをモバイル経由にすることで、最終的には現金がいらなくなる社会につながっていく」

 ――個人情報が握られるのでは、と心配する人もいるのではないでしょうか。

 「現状でも匿名・統計化されたデータを使っている。それでも嫌という人には、個人情報の提供を本人の求めに応じて停止する仕組みを必ず入れる」

 ――ベンチャー出身の経験から、就職活動中の学生や転職する人たちへのアドバイスを。

 「日本にネットが根付いたこの約20年間で、個人の力がどんどん生かせるようになった。産業のデジタル化、リアルとの融合はますます進む。チャレンジは若ければ若いほど良い。エラーした人しか成功しない」(聞き手・上地兼太郎)

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 かわべ・けんたろう 1974年、東京都出身。青山学院大に在学中に起業したITベンチャー「電脳隊」を経て2000年にヤフーに入社。「ヤフーニュース」の責任者のほか、同社が09年にUSENから買収した動画サービス「GyaO(ギャオ)」(現GYAO)の社長を経て、12年からヤフー副社長。今年6月に社長就任予定。