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 北京で開かれている全国人民代表大会(全人代)の記者会見で、冗長な質問をする女性記者に隣の記者があきれる様子をとらえた映像が強い関心を集めている。記者が名乗る在米テレビ局の実態が乏しく、共産党の宣伝用につくられた偽メディアではないかとの疑惑も浮上した。翼賛化を強める全人代のあり方に疑問を投げかけている。

 13日、経済閣僚の「ぶら下がり会見」の様子を国営中央テレビが生中継した。ロサンゼルス近郊に拠点を置くという「全米テレビ」の記者を名乗る女性が「習近平(シーチンピン)総書記が『一帯一路』構想を唱え、国有企業の海外投資が強まる中で……」など、指導部を持ち上げるような前置きをしながら質問。あまりの冗漫さに、隣にいた中国メディアの女性記者があきれたように顔をしかめたり、白目になったりする姿が映った。

 映像はネットですぐに拡散。あきれ顔が大写しになった女性記者をたしなめる声の一方、「こんな質問には、私たちだって心の中で白目をむいている」などと擁護する声も少なくない。政府高官や著名人の演説シーンにこの女性の表情を合成した映像も出回った。

 さらにネットユーザーが、質問した女性記者が過去に別のメディアを名乗って記者会見に出ていた映像や、「全米テレビ」が番組製作をほとんど行っていないことなどを暴露。「共産党の宣伝用につくられた偽(フェイク)メディアだ」との指摘も出ている。

 全人代の記者会見では政府に批判的な質問が出ず、共産党や政府を賛美したり、記者が自分の経歴をひけらかしたりする前置きをつけることが多い。中国メディアのある記者は「全人代がショー化して庶民の関心が薄れている。やっと自分たちで議論できる話題が出てきた」と皮肉った。(北京=平賀拓哉)