[PR]

 今回は、高校野球の良くないところ、運営面で改善すべきところを考えます。アンケートでは「他県からの選手集め」「行きすぎた練習、指導」「過密日程」「故障や熱中症への対策」への指摘が目立ちました。また、朝日新聞を含めたメディアの報じ方に関する意見も寄せられました。

特別扱いされすぎでは

 朝日新聞デジタルのアンケートに寄せられた意見の一部を紹介します。

●「息子とその仲間と、その親たちと一緒に夢を追いかけられ、楽しい思い出です。一部の選手をヒーローに仕立てあげる報道の仕方は問題では? 『甲子園に魔物がいるとか言うけど、どこにでもいるから』は現役だった息子の言葉。劇的(ふう)な演出をし過ぎてます」(千葉県・50代女性)

●「夏の高校野球は東京都、北海道を除く45府県で代表が1校です。私が住む神奈川や大阪、愛知ではかなり激戦です。国政選挙の一票の格差ではありませんが、もう少し2校出られる府県が増えてほしいです。100回記念大会では南神奈川・北神奈川で2校出場できるので継続してほしいです」(神奈川県・50代男性)

●「大会の入場行進が、戦前と変わらない方法であり、もう少し柔らかくしても良いのではと思います」(兵庫県・60代男性)

●「私は現在高校2年生の女子高校野球球児です。普段は男子と同じで白球を追いかけて日々ほかの女子部員と共に汗を流して頑張っています! 前に甲子園で女子の決勝をというお話が話題になり私たち女子野球をしている選手も一同願っている一方です。しかし、それほど甘くないのが現実です。今すぐにとは言いません。ぜひいつか女子も同じ土俵で大会を実現していただけたらなと思います。もっともっと高校野球が熱く、奮闘するものとなりますよう、強く願っています」(兵庫県・10代女性)

●「私は高校時代は野球部に所属し甲子園を目指していました。礼儀や人間関係の築き方は多くを学ぶことができたと思います。しかし、どんなにハードな練習でも『勝つため』で正当化されてしまうし、特に優れた能力をもった選手でない限り『チームの一員としての役割』をいや応なしに求められていたと思います。例えば小柄で左打ちの私は、バットを短く持ち、粘って出塁したり、引っ張らずに逆方向へ打つことが『正解』と教えられてきました。何が正しいことなのか、いつの間にか自分自身の意志と思考で判断することをやめてしまったような気がします。チームと『個』のバランスの難しさは、高校卒業から10年を経た今でも難問のままです」(東京都・20代男性)

●「全国高校野球選手権大会の課題と考える2点につき私見を述べます。いわゆる原則各県1校の代表制になって以降、大会日程が窮屈になっています。ことに問題なのは、甲子園球場だけを会場としているため、開会式の後、最初の試合をするまでに6日(順延になれば7~8日)も待機しなければならない学校が出るということです。他の高校スポーツでは考えられないことです。1・2回戦は複数会場で行い、改善すべきです。また、真夏の酷暑期での開催なので、せめて時間に融通の利く決勝戦などは、できるだけ涼しい時間帯に行うべきだと思います。『国民的行事』と言われますが、あくまで『高校生第一』で運営して頂きたいものです」(東京都・60代男性)

●「サッカーやバレーでも憧れのコートはセミファイナルからだし、全国大会が各県出られない競技もたくさんある。文化部の大会もそう。野球もそろそろ日程にゆとりを持たせる意味で、ベスト8までは甲子園使わないで複数球場で一気にやってしまって、過密日程を避ける方に向いていった方がいいと思う。甲子園でやりたいんだろうけどね。一回戦出場校にはまだまだ力の差あるし、勝ち抜いた学校に与えられるプレミアでいいんじゃないかな」(京都府・30代男性)

●「越境入学については賛否あるが、批判意見はしばしば生徒個人への視線を忘れがちだと感じる。レギュラーが確約されてなくとも、甲子園に出たい・勝ちたいという一心で、10代で親元を離れて練習に励む部員を批判することはできない。たとえ元指導者に誘われたとしても、彼らの決断は相応の覚悟なしでは下せないはずだ。各都道府県の代表としてふさわしくないと言うのは野球に対する姿勢よりも、出身にばかり目を向けてしまっている。各競技の日本代表に外国にルーツをもつ選手が選ばれても一スポーツマンとしてほぼ例外なく尊重されるのに、高校野球ではそうでないのはダブルスタンダードであり、なにか特別を求めすぎているのではないか」(東京都・10代男性)

●「プロ野球と違って、負けたらもう次はないという真剣勝負が魅力。だが、最近のメンバーを見ると、選手をあちこちから集めていて、地元感がないのが残念。高校野球も部活の一つなのに、特別扱いされ過ぎてる気がする。周りが盛り上げ過ぎな気もする。いくらヒーロー的な選手がいても過剰にマスコミが追いかけ過ぎるのもどうかと思う」(神奈川県・40代女性)

将来 糧になる経験を 日本高校野球連盟会長 八田英二さん(68)

 改善すべき点という意見が多かった過密日程については、選手にできるだけ無理をさせないようにしてほしいということかと思います。

 野球は本来、時間に縛られないスポーツです。一方で高校野球の主な大会はトーナメント制で、日程的な制約もある。歴史的には延長回数制限を設け、それを短縮してきました。今年からタイブレーク制を導入します。引き分け再試合はほぼなくなり、負担も軽減されるでしょう。

 熱中症については他団体に先駆けて対策を講じてきたつもりです。甲子園大会は主催者が水分を準備し、半ば強制的に摂取させる態勢を整えています。ベンチ裏に理学療法士が待機し、試合前後にケアもしています。その取り組みは各都道府県にも広がりつつあります。

 午前と夕方からに分けて、ナイターで実施する考えもあるでしょう。ただ、応援団も含めて高校生が夜の9時、10時まで課外活動をすることには疑問の声も出るでしょう。

 県外出身者が多いチームに批判もありますが、本来は各学校が教育理念に従って判断することだと思います。全面規制は難しい。一方で、私たちは加盟4千校が公平にフェアな状態で競える基盤を整えなければいけません。野球特待生は1学年5人と規制しています。

 大切なのは指導者です。教育の一環だと理解していたら、勉学との両立や人間形成も大切にするはず。野球一点張りでも短期的に強くなるかもしれないが、長期的には必ず行き詰まります。

 石川・星稜の松井秀喜選手の5打席連続四球(1992年)は、賛否は別にして、松井さんにとっても、相手投手にとっても、あとになって、いい教育になったと私は思う。どちらも大きく成長したはずです。若者に甲子園という素晴らしい舞台が与えられ、その経験が将来への糧になる。たとえ望んだ結果でなくても、その教育的効果は大きい。甲子園に出られない生徒も、そこを目指して同じような経験をしています。(聞き手 編集委員・安藤嘉浩 聞き手 )

フェス化 健全でない 音楽・野球評論家 スージー鈴木さん(51)

 私は毎年、東京から甲子園球場に見に行く高校野球好きです。ただ近年、やや冷めています。

 朝日系を中心とした新聞、テレビの演出が「青春」「汗」「涙」という感じで、過剰にドラマチックだからです。選手の家庭環境に焦点を当てたり、「試合に出られないけど三塁コーチで頑張っている」といったりした、お涙ちょうだいの「いい話」に持っていきすぎです。それらは大仰に報じるほどの話ではなく、スポーツ報道としては貧困だと思います。

 そういう演出に乗って、甲子園には早朝から行っても入場できないくらいのお客さんが詰めかける。私はこれを、大規模な音楽イベントを指す「音楽フェス」に例え、「甲子園フェス」と呼んでいます。

 野球に興味ない人々も物見遊山で来ることは、悪いことではありません。ただ、過剰な盛り上がりは真夏における高校生の体の酷使につながり、サディスティックで健全ではないと思います。

 メディアが「物語主義」を離れ、プレーの見どころを語る「野球主義」に重きを置き、100回という歴史の厚さから大会の価値をきちんと伝えることが必要でしょう。(聞き手 聞き手 編集委員・中小路徹

     ◇

アンケート「高校野球、どう思う?」を20日までhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするへ。「声」欄でも募集しています。

こんなニュースも