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 国境を越えて連れ去られた子は原則、元の居住国へ返還させると定めたハーグ条約に基づき、子の返還を命じる決定を受けた在米の父が、子の返還に応じない母に引き渡しを求めた人身保護請求の判決が15日、最高裁第一小法廷であった。山口厚裁判長は、返還命令が確定しても返還に応じない場合は原則、「違法性が高い拘束にあたる」とする初判断を示した。その上で請求を退けた二審判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。

 外務省によると、返還を命じる決定を受けても、親の抵抗で実現しないケースが相次いでおり、返還の実務に影響しそうだ。

 裁判資料によると、両親は2002年ごろに渡米、04年に子が生まれた。母が16年1月、父の同意なしに子と日本に入国したため、父が東京家裁に返還を申し立てた。家裁は返還命令を出し、同年11月に確定したが、母はその後も返還に応じず、執行官による代替執行時も子を抱きかかえて抵抗。子は「ずっと日本にいたい」などと述べていた。

 父は、身体の自由を拘束されている人を司法判断ですみやかに救済する手続きの人身保護請求を活用。名古屋高裁金沢支部は17年11月の判決で、子は日本の生活環境になじみ、母との生活を望んでいると指摘。「母に拘束されているとは認めがたい」としていた。 (岡本玄)