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 人工的に作りかえたウイルスによってがん細胞を死滅させる「がんウイルス療法」で、鳥取大とアステラス製薬(本社・東京)は、共同で開発を進めてきたウイルスの実用化に向けてライセンス契約を結び、15日に記者説明会を開いた。今後、薬の製造や臨床試験などに共同で取り組み、実用化を目指すという。

 鳥取大によると、契約の対象となるウイルスはかつて天然痘を予防するためのワクチンとして使われていたワクシニアウイルスを遺伝子操作し、がん細胞だけで増殖するようにしたもの。がん細胞を破壊するだけでなく、免疫を活性化する遺伝子を組み込んでいるのが大きな特徴だという。

 ベースとなったのは、鳥取大大学院医学系研究科の中村貴史准教授(遺伝子治療学)らの研究。2014年ごろから中村准教授らとアステラス製薬が共同研究を進め、16年11月に特許を出願した。同大によると、マウス由来の大腸がん細胞を体の左右の皮下に移植したマウス5匹について、腫瘍(しゅよう)が直径5~6ミリに育った状態で、このウイルスを左側の腫瘍にだけ注射したところ、左右ともに腫瘍が消失したという。がんに対する免疫が全身に及んだ効果とみられ、今後、さらに試験を進めるという。

 同大によると、こうした契約が臨床試験前の段階で結ばれるのは珍しい。アステラス製薬は「革新的ながん免疫治療につながることが期待されるウイルス」と評価。中村准教授は「契約によって、薬として売り出すまでにかかる時間が数十年単位で短縮できる可能性がある。一日も早くがんの患者さんに届けたい」と話す。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(斉藤智子)