皇太子さまは18日朝(日本時間同日夜)、民間機でブラジルの首都ブラジリアに到着した。午後(同19日午前)は、郊外の「セラード農牧研究センター」を訪れ、広大なコーヒーやトウモロコシなどの実験農場や、センターピボットと呼ばれる灌漑(かんがい)設備を視察。コーヒーの実を触ってカメラで撮影するなどした。

 センターは「セラード」と呼ばれる熱帯サバンナ地帯にあり、酸性が強い土壌で農業には不向きだったが、1970年代、日本との官民合同の事業などで大規模な農地開発が進み、75年に43万トンだった大豆生産量は今では5千万トン強とされ、世界に誇る穀倉地帯となった。

 国際協力機構(JICA)も技術と資金の両面で協力。78年には、日本から第1陣として農学研究者ら専門家7人が派遣された。そのうちの一人、JICA職員の小林正人さん(故人)は現地で事業の管理やブラジル側との調整などに奔走したが、任期半ばで胃がんが見つかり、81年9月に亡くなった。センター敷地内には小林さんの遺骨の一部が葬られ、記念庭園や記念碑も作られた。

 皇太子さまがセンターを訪れるのは設立から7年の82年以来で、初めて見る記念碑や庭園について感慨深そうに説明を聞いた。その後、大使公邸で日系人ら53人と懇談。「日本文化が普及すると良いですね」などと声をかけた。(ブラジリア=多田晃子)