【動画】移動図書館、交流機能で役割見直し=上田真由美撮影
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 本を積んだ車で地域をめぐる移動図書館。戦後の復興期には地域の隅々に文化を届ける役割を担ったが、最近では、本をきっかけに人や地域をつなぐ機能に注目が集まる。「交流」「復興」「支援」という三つのキーワードで追った。

NPO法人「無本村なくしたい」

 鹿児島県指宿市。池田湖畔の広場に7日朝、赤色とクリーム色のツートンカラーのワゴン車が入って来た。ベレー帽をかぶった女性たちが、書棚やイスを設け、絵本を並べていく。ブックカフェ「そらまMEN(めん)」号のオープンだ。

 女性たちは、NPO法人「本と人とをつなぐ『そらまめの会』」のメンバー。本を貸し出すわけではないが、要望に応じて出向き、絵本の読み聞かせや読書会を開く。「そらまMEN」はこの日から運行を開始した。

 会の理事長の下吹越(しもひごし)かおるさん(55)は、仲間たちと立ち上げたNPOで指定管理者として市立図書館を運営する一方、休館日などを利用し、ボランティアで「そらまMEN号」を運営する。

 車や500冊の絵本、1年分の運営費などは全国487人からの寄付計約1200万円で賄った。インターネットで寄付を募るクラウドファンディングを使った。「『子どもたちに本を』と思う人がこんなにたくさんいた」と下吹越さん。熊本地震の被災地など九州を巡りながら、活動範囲を広げていく予定だ。「本との出会いは力になる。同じような活動をする人が各地に増えて『無本村』がなくなるといい」と話す。

戦後にルーツ、97年がピーク

 日本での移動図書館の歴史は1940年代後半にさかのぼる。千葉県立図書館が49年に「ひかり号」で巡回をスタート。父親がひかり号の運転手をしていたことから図書館の研究もする考古学研究者の大岩桂子さんによると、GHQ(連合国軍総司令部)の払い下げトラックを改造、600冊の本を載せ、泊まりがけで県内を巡った。当時の運行日誌などを読み解くと、文化を普及させようというGHQの方針とも重なったという。

 活動は各地に広がり、日本図書館協会によると、ピークの1997年には全国で計697台が運行していた。だが、図書館の建設が進むにつれて移動図書館は減り、2017年には541台になった。

 それが、東日本大震災をきっかけに「役割が再び評価されるようになった」と指摘するのは、図書館の歴史に詳しい十文字学園女子大学の石川敬史准教授(図書館学)だ。NGOシャンティ国際ボランティア会の移動図書館は震災が起きた11年から昨年までの6年間、東北3県の仮設住宅を巡り、のべ5万5千人余りが計11万8千冊を借りた。

 シャンティの広報担当者による…

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