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 川崎市幸区の有料老人ホームで2014年、入所者の男女3人が相次いで転落死した事件で、殺人罪に問われた元職員、今井隼人被告(25)の裁判員裁判の判決公判が22日、横浜地裁であり、渡辺英敬裁判長は検察側の求刑通りに死刑を言い渡した。弁護側は無罪を主張していた。

 被告の起訴内容は、「Sアミーユ川崎幸町」に勤務していた14年11~12月、87歳の男性と、86歳、96歳の女性(年齢はいずれも当時)を施設のベランダから投げ落としたというもの。

 防犯カメラの映像など犯行を裏付ける直接的な証拠がないなか、被告が16年2月の逮捕前後に「入所者が精神的に不安定で煩わしかった」などと犯行を認めた様子を撮影した録音・録画の内容の信用性が、最大の争点となっていた。

 検察側は論告で、被害者はいずれも高齢でベランダの柵を自力で乗り越えることは難しかった▽すべての発生日に夜勤だったのは被告だけだった▽同僚に「犯行予告」をしていた▽自分の母親にも殺害を認めていた――ことなどを指摘。無罪を主張する被告について「更生する可能性は皆無で、極刑以外の選択の余地はない」と訴えていた。

 一方の弁護側は最終弁論で、被害者はいずれも自力で歩行でき、「自殺や事故の可能性がないとは言い切れない」と主張。自白した録音・録画の前には「警察官による圧力や誘導があり、虚偽の自白をしてしまった」などと訴えていた。(古田寛也)