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 敷き詰めた写真は約千枚。松木昭裕さん(46)、知美さん(42)が撮り続ける絢(じゅん)くん(8カ月)の成長の記録だ。出会ったのは生後5日目だった。特別養子縁組で家族になった。「家族が増えて、人生こんなに素晴らしいことがあるのか、って。血はつながってない。でもただそれだけのこと」と昭裕さんは語る。

 不妊治療で7年間苦しんだ。「あの頃は妊娠がゴールで、叶(かな)わないことがつらかった。でも本当は、生まれてからがスタートなんですよね」。絢くんの隣で知美さんは微笑(ほほえ)む。

 生みの親が育てられない原則6歳未満の子を、家庭裁判所の審判を経て、夫婦が実子として迎え育てる特別養子縁組制度は、子どもの福祉を目的に1988年に施行された。だが成立件数は2016年度で495件。制度は広がっていないのが実情だ。

 知美さんは特別養子縁組をした家族の動画や体験談に触れ、知った。子を産まなくても育てていく。どの家庭も温かく、愛情にあふれていた。縁組をあっせんするNPO「Babyぽけっと」に申し込み、1年待った。

 2人は将来、絢くんに話すつもりだ。おなかを痛めて産んでくれた女性がいて、そして事情があって手放す決心をしてくれたから、自分たちは家族になれた、と。「何があっても絢の未来を守っていく。できることは何でもするつもりです」(写真・文 川村直子)