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 伊藤忠商事は近く、英オランダ石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルからイラクの大型油田の権益を取得する。必要な手続きを済ませ、約500億円を投じて権益の約20%を保有する。国内情勢が不安定なイラクで、日本企業が大規模な油田開発に参画するのは異例だ。

 取得するのは、イラク南部にある「西クルナ油田」の生産ラインの権益。世界有数の原油埋蔵量を誇るイラク国内でも最大規模の油田の一つで、1日の生産量は約40万バレルに上る。2009年にシェルが権益を取得したが、ガス資源開発へシフトするため、伊藤忠が譲渡を受けることになった。

 日本は原油輸入の8割以上をサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国に頼っている。商社にとって、中東は資源ビジネスの要だ。一方で、政治や治安の不安定さなどから、進出に二の足を踏む企業が少なくない。イラクも豊富な埋蔵量がありながら、インフラ整備が追いつかず、開発の余地が残る国の一つと言われる。

 伊藤忠は生産した原油の日本への輸出も想定。緊急時には優先的に日本向けの原油も確保できる契約だ。生産量に応じてイラク政府から報酬を得る仕組みで、原油価格の変動に利益が左右されにくい。非常時に損失をカバーする「日本貿易保険」の海外投資保険も付けた。今後はイラクでの取扱量の拡大を目指す。(鬼原民幸)