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 大阪府茨木市の弥生時代の集落遺跡の中河原(なかがわら)遺跡で、弥生時代中期(約2千年前)とみられる切り妻(づま)屋根の高床建物5棟が描かれた土器片がみつかった。茨木市教育委員会が23日発表した。同じ構造と明瞭にわかる建物群が表現されている弥生絵画の発見は全国で初めて。専門家は弥生時代の集落の姿や、当時の祭祀(さいし)のあり方を探る重要な資料として注目する。

 市教委によれば、2016年11月から約1年間にわたる調査で、建物が表現された土器片9点が出土した。破片を接合すると縦21・5センチ、横25・5センチ。大小5棟の高床建物はいずれも切り妻屋根で、神社の屋根の上に突き出た「千木(ちぎ)」のような棟飾りを持ち、数本の長い柱が屋根を支える構造だ。中央の建物は一回り小さく、その周りに両端が張り出した屋根を支える棟持(むなもち)柱を持つ建物や、はしごの架かった建物が並んでいる。

 5棟以上の建物が描かれた弥生絵画の土器は、奈良県橿原市の中曽司(なかぞし)遺跡と福岡県筑前町の大木(おおき)遺跡からの出土例があるが、建物の構造がはっきりとはわからない。一方、今回のように切り妻屋根の高床建物と鮮明にわかる弥生絵画は他にないという。

 辰巳和弘・元同志社大教授(古代学)は「収穫した稲籾(もみ)を入れた土器を一番小さな建物に納め、来季の豊作を祈ったのでは」。

 黒崎直(ただし)・大阪府立弥生文化博物館長(考古学)は「同じ弥生中期の大集落跡で知られる、大阪府の池上曽根(いけがみそね)遺跡でみつかった棟持柱の建物は神殿と推定され、この絵画も棟持柱の建物が中心的な建物ではないか。集落の日常の姿を詳細に描いたのだろう」とみる。

 絵画土器は28日から、市立文化財資料館で公開される。6月25日まで。問い合わせは同館(072・634・3433)。(室矢英樹、編集委員・今井邦彦